バイエル薬品と参天製薬は4月23日、糖尿病患者を対象に行った、糖尿病網膜症の予防に関する調査結果を発表した。
糖尿病網膜症は、糖尿病の3大合併症の1つで、進行すると失明につながることがある。しかし視力などへの影響があらわれにくく、自覚症状が出た時にはすでに進行している場合がある。
調査は、糖尿病罹患期間10年以上の人(45.7%)を含む、20~79歳の糖尿病患者1,000名を対象に行われた。
それによると、「糖尿病と診断されたら、年1回以上の眼科受診が推奨されている」ということを知らなかった人は46.9%でおよそ半数にのぼった。実際に年に1回以上受診している人は53.8%にとどまり、残る46.2%は未受診か、もしくは受診を中断しているという結果であった。
また、すでに糖尿病網膜症を発症している56人への質問では、診断時に明確な自覚症状があった人は30.4%で、37.5%の人はまったく自覚症状がなかったと答えた。
糖尿病網膜症は、糖尿病患者の約20%に発症するといわれる。日本における視覚障害の原因疾患の第2位、60~74歳においては第1位を占めており、糖尿病網膜症を原因として失明する人は年間約3,000人にものぼる。
本調査を監修した北野滋彦医師(東京女子医科大学)は、「眼科医と糖尿病治療医が連携して広く啓発や情報提供を行うとともに、眼科受診とその継続に向けた具体的な支援を行っていくことが重要」とコメントしている。