脳梗塞の治療は、血栓溶解療法が最も有効とされている。しかし、血栓を溶かして血流の流れを再開させるため、脳出血や脳浮腫を合併するリスクがあった。
新潟大学の下畑享良准教授ら(脳研究所神経内科)は、4月2日、それらの合併症を抑制しながら、脳の神経細胞を保護し、炎症を抑える薬物を世界ではじめて明らかにした。
研究グループは、血栓溶解療法で用いられる「tPA」とともに、「プログラニュリン」と呼ばれる、欠乏すると認知症を引き起こす蛋白を動物モデルに投与。すると、合併症を防ぐだけでなく、神経細胞を保護し、炎症細胞を抑制して脳梗塞サイズも縮小させることを見出した。
血栓溶解療法は、発症から4.5時間以内に行うこととされている。しかしこの薬物が実用化されれば、治療時間は8時間程度まで延長できるという。
脳卒中は、死因の第4位,寝たきりの原因の1位となっている。なかでも血管が詰まることで発症する脳梗塞は、近年増加傾向にある。