日本老年医学会などは「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」(案)を作成し、4月1日に公表した。
高齢者は、薬物有害事象の頻度が高く、かつ重症例が多い。本ガイドラインは、高齢者薬物療法の安全性を高める目的で2005年に初めて作成され、今回は10年振りの全面改訂となる。現在は、改訂版に対するパブリックコメントを募集しているところだ。
本ガイドラインでは、「中止を考慮するべき薬物もしくは使用法」を「ストップ」という名称でリスト化し、反対に「強く推奨される薬物もしくは使用法」を「スタート」という名称でリスト化している。
もし現在使用している薬物が「ストップ」にあれば、「スタート」の中から代替の薬や使用法を見つけることができる。
高血圧や関節リウマチといった、高齢者に多い疾患ごとに分類されており、治療についての解説も記載されている。やや専門的ではあるが、一般の人に理解できないほどではない。
漢方薬もリストアップされており、高齢者が使用しそうな薬物はおおむねカバーされているようだ。
たとえば「高血圧」の章では、α遮断薬やループ利尿薬、β遮断薬と呼ばれる薬物は「ストップ」に分類されている。その根拠は、たとえばα遮断薬は、降圧治療開始時の転倒リスクに関わるからだそうだ。
一方、「スタート」に分類されている薬剤はACE阻害薬と呼ばれる薬剤。これは、咳反射を高ぶらせるため、誤嚥性肺炎を起こしやすい高齢者にも向いているということだ。
疾患ごとに章立てされているので、まずは気になる疾患から目を通してみてはどうだろうか。
◎「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」(案)
http://www.jpn-geriat-soc.or.jp/info/topics/pdf/20150401_01_01.pdf