旭化成ホームズは3月17日、単世帯で住む高齢者が感じる、くらしの豊かさについての調査結果を発表した。
調査では、「高齢期を豊かに住まうために大切なこと」(30代~70代の1,721人)と、「親の生活マネジメント」(親と別居している45~64歳の既婚者1,100人)の2つが行われた。
調査結果より、70代は、くらしや人生における満足感が他世代と比べて高いことや、豊かさを構成する要件や要素が他世代と異なることが明らかになった。
また、介護を必要としない自立した親であっても、別居の実子(とくに娘)が生活支援に関与しており、また多くの実子がもっと親を支援をしたいと考えいることがわかった。
【主な調査結果】
■自宅のくらしに豊かさを感じている70代は多い
全体の半数が豊かさを感じており、年齢を重ねるにつれて増加する傾向であった。
なかでも70代は「人生が安定している」「自己実現ができている」「自分の好きなことができる時間がある」といった満足感が高く(70.7%)、高齢期においては世帯年収以外の要因に豊かさを感じている可能性がある。
■豊かさを感じる70代の自宅の過ごし方の特徴 男性「家族と過ごす」、女性「趣味や好きなことをする」
自宅でのくらしに豊かさを感じている70代の男性は、豊かさを感じていない人に比べて「家族と過ごす」時間が圧倒的に長い。
一方、豊かさを感じている女性は、60代では「家族と過ごす」時間が圧倒的に長いが、70代では「趣味や好きなことをする」時間の方が長いようである。
■70代だからこその豊かさ
70代が考えるくらしの豊かさを構成する要素は、「外(自然・社会)とのつながり」「家族とのつながり」「自己実現のための時間や経済的ゆとり、それを叶える自分の健康」「安心・安全な暮らし、家族の健康まで含めた生活の基盤」であった。
また、全体では「(自分や家族の)健康なくらし」そのものが豊かさとして捉えているのに対し、70代に限ると、「自分の健康」は「自己実現を叶えるための要素」、「家族の健康」は「安心・安全な生活の基盤の要素」と捉えており、70代は豊かなくらしの感じ方独特であることが明らになった。
■親の生活支援に関わる人は血縁が中心
単世帯で暮らす高齢の両親に対する支援は、実子のなかでも女性のほうが高い。
一方、「自分の配偶者」は「外部サービス」よりも関わりが低く、親の支援は血縁の兄弟姉妹を中心に行っているようである。
■自立していても、作業やつきそいなどで生活支援
実子による親への生活支援項目をIADL(手段的日常生活動作)の観点から調査したところ、支援内容の上位5つは「世間話を聞く」「困りごとを聞く」「おいしものを食べに行く」「遠出をする」「通院に付き添う」であった。
さらに親の自立・要介護別にみると、自立した親には「作業系(※1)」「つきそい系(※2)」「情緒系(※3)」を中心に、約3割の生活支援を行っており、要介護になると「管理系(※4)」「方針系(※5)」も含めた生活全般に対する支援の割合が高くなるようである。
■実子は「親の支援をもっとしたい」
多くの実子は、別居する親をもっと支援したいと思っており、特に、要介護よりも自立の親を持っている場合の方が「もっと支援したいが、出来ていない」と感じているようである。
「利用したい外部サービス」は、特に「作業系」や「方針系」で、要介護だけでなく自立の親に対しても一定の利用希望があった。
※1 食事の支度やゴミ出し、買い物等
※2 通院や外食、遠出等の付き添い
※3 世間話や、生活上の困りごとや愚痴を聞く等
※4 家や庭の補修、災害対策、防犯への注意喚起等
※5 持病の治療方針、資産運用等の提案や相談にのる