総務省は3月10日、厚生労働省に対して、条例により自宅買換えの際に介護保険料の減免措置を講じることができることを保険者(市町村)に周知するようあっせんした。
国民健康保険制度や後期高齢者医療制度では、自宅を売却した際に3,000万円の特別控除が適用される総所得金額等を基に保険料が算定されている。
一方、介護保険料は、合計所得金額を基に算定されており、自宅買換えの際に売却代金がほとんど手元に残らない場合や持ち出しになる場合であっても、その売却代金が所得に計上されて、保険料が以前よりも高額になることがある。
しかし、介護保険料算定に総所得金額等を用いると、自宅買換えのみならず、特別控除が適用されるすべての人の保険料が減収し、減収分が被保険者の保険料に転嫁されることから、介護保険料の算定に総所得金額等を用いるのは適切でないという見解に至った。
ただし、市町村は条例で定めるところにより、特別の理由がある者に対し、介護保険料を減免または徴収を猶予することができる。総務省の調べでは、実際に、条例により自宅買換えの際等に保険料の減免措置を講じている市町村もあった。
そこで総務省は、有識者や保険者の意見をふまえ、保険者における保険料の減免が介護保険財政に影響を与え得ることを明確にしたうえで、市町村に対し、条例により自宅買換えの際等に保険料の減免措置を講ずることができることを周知する必要があるとして、厚生労働省に検討を促した。