東京大学の中山裕之教授らの研究グループは、キリンおよび小岩井乳業と共同で、カマンベールチーズに含まれる成分がアルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβの沈着を抑えることを発見したと発表した。
研究グループは、アルツハイマー病を自然発症するマウスに対し、市販のカマンベールチーズから調製した飼料を与え、脳内のアミロイドβ量を測定。すると、この飼料を与えなかったマウスに比べて、アミロイドβの脳内沈着が減少し、脳内の炎症が緩和されていることを発見した。
カマンベールチーズは白カビで乳を発酵させて製造する。その発酵過程で生成されるオレイン酸アミドとデヒドロエルゴステロールと呼ばれる物質が有効のようだ。
チーズ等の発酵乳製品が認知機能低下を予防することは、これまでの疫学調査からも示唆されていたが、その有効成分やどのように作用しているのかは不明であった。今回の研究成果により、カマンベールチーズに含まれる成分が有効である可能性が示唆された。
研究成果は、米国の科学雑誌『PLOS ONE』に3月11日に掲載された。