九州大学の広津崇亮助教らを中心とする研究グループは、3月12日、線虫を活用して、尿1滴で様々な早期がんを検出できる技術を開発したと発表した。
がん患者には、人には嗅ぎ分けることのできない特有の匂いがあるといわれる。
体長1mm程度の糸状の動物「線虫」は、犬と同等の嗅覚受容体をもち、好きな匂いに対して寄り、嫌いな匂いから逃げるという走性行動を示す。
研究グループによると、がん患者の尿20検体、健常者の尿10検体について、線虫の反応を調べたところ、すべての検体において、がん患者の尿には寄り、健常者の尿からは逃げる行動を示した。早期のがんにも反応を示したことから、がんの早期発見につながる可能性がある。
この技術では、通常の尿1滴を使って、1時間半程度の時間でがんを高精度に検出することができる。コストは数百円で、医療者による診断の差もない。
実用化されれば、がん検診の受診率向上と早期がんの発見・治療、医療費の削減につながると期待される。