埼玉県和光市の保健福祉部長 東内京一氏が監修した書籍『こうすれば実現する!理想の地域包括ケア 埼玉・和光市の高齢者が介護保険を“卒業”できる理由』が、1月30日、メディカ出版より発刊された。
著者は、認知症高齢者の成年後見人や特養の心理相談員、クリニックの臨床心理士なども務めながら、介護ライターとして活躍する宮下公美子氏。
行政の強いリーダーシップで独自の地域包括ケアシステムを構築する和光市。その取り組みにより、毎年、要支援認定者の4割以上が介護保険を“卒業”し、要介護認定率は、全国平均16.8%を大きく下回る9.6%(2012年)の水準に維持している。
いかにして和光市は高齢者を元気にする街を作り上げたのか、また専門職や市民はどのように関わっているのか、本書ではそれらが詳しく解説されている。定価は2,000円(税別)。
—-著者コメント—-
国から地域包括ケアのモデル都市として紹介されることの多い、埼玉県和光市の介護予防、自立支援の取り組みについて書いた本です。
65歳以上が4人に一人となった日本。介護報酬の引き下げを見ても、財政面から、今後、介護サービスは重点配分に傾き、絞り込まれていくことでしょう。介護予防を重視して取り組むことは、これから必至の流れと思います。
和光市は行政が積極的に市民を啓発し、サービス事業者、専門職の意識も変えていくことで、高齢者が介護保険から卒業し、その後も元気を維持できる仕組みをつくってきました。
超高齢社会を支える体制づくりは、地域特性に応じて進められるべきです。しかし、和光市の取り組みは、行政が本気になればここまでできるのだ、という意味で、一つのモデルとなりうると考えています。
この本が、わが町の介護体制をどう作り上げていくか、介護保険サービスが介護予防にシフトする中でどのような視点で介護の仕事に取り組んでいくかを考える一助になればと願っています。(宮下公美子)
【目次】
はじめに 「地域包括ケアシステム」は行政、専門職、市民みんなでつくるもの
第1部 和光市が実現させた「介護保険からの卒業」
序 章 驚きの“介護版”シンデレラストーリー
第1章 「介護保険を使うのは必要なときだけ」という市民
第2章 高齢者自ら「頑張る」気にさせる工夫
第3章 実態調査の詳細分析を活かした事業計画
第4章 在宅限界点を高めるサービス基盤整備
第5章 介護保険では足りないサービスを独自に創出
第6章 心・体・環境も考えたきめ細かな支援
第7章 視察が殺到する和光市の地域ケア会議
第8章 和光市における多職種協働の実際
第2章 和光市の地域包括ケアを支える専門職たち
第1章 地域包括支援センター職員―1人で200人を担当する卒業支援の司令塔
第2章 ケアマネジャー―ケア会議で鍛えられる在宅介護のキーパーソン
第3章 ケア会議でのご意見番―外部専門職の助言で変わるケアプラン
第4章 「卒業」を支える人たち―劇的な改善だけが和光市の支援ではない
第5章 和光市職員―専門職と共に高齢者を支えるスペシャリスト
終 章 東内京一保健福祉部長が語る 和光市が目指す「地域包括ケア」とは
おわりに 「わが町の課題」を解決するために~東内京一
◎メディカ出版
http://www.medica.co.jp/