鶴見大学の斎藤一郎教授(歯学部病理学講座)の研究グループは、ポリフェノールの一種で玉ねぎ等に多く含まれる「ケルセチン」が唾液分泌を促進させるメカニズムを解明した。1月29日に発表した。
唾液の分泌量が低下して口の中が乾燥する「ドライマウス」は中高年に起こりやすいといわれ、口臭や不快感だけでなく、虫歯や歯周病、肺炎などのリスクファクターにもなる。
ドライマウスの原因は、ストレスや更年期障害、筋力低下などさまざまだ。
研究グループは、マウスでの実験で、ケルセチンが唾液の分泌障害を改善するだけでなく、分泌量を増やすことを発見。また、分泌障害の原因となる酸化ストレスや炎症反応に対しても抑制的に働くことを突き止めた。
唾液は1日に約1.5L分泌され、その中には、抗菌作用や消化作用、粘膜保護作用、中和作用、修復作用などの全身の健康維持に不可欠な物質が多く含まれている。
ケルセチンは、強い抗酸化力のほかにも、抗炎症効果や血管拡張作用、血管新生促進作用もあることから、ケルセチンの摂取が全身の健康維持に有効な手段となる可能性が示された。
この研究は、農林水産省の委託事業の一環として行われ、今後、ケルセチンを含む機能性食品の開発に貢献すると期待される。