塩崎厚生労働大臣は、1月11日、2015年度の予算案をめぐる麻生財務大臣との折衝を終え、その内容について会見を行った。
折衝では、「介護報酬改定」「2015年度の消費税増収分による社会保障の充実・安定化」「医療保険制度改革の推進に関する予算関連事項」「生活困窮者支援および生活保護」の4事項について話し合われた。
介護報酬については、改定率を全体で-2.27%とすることで合意。そのなかで、介護職員の給与については、消費税増収分を活用し、月額1.2万円相当の処遇改善加算の拡充を行うこととなった。
また、地域包括ケアシステムの構築に向けて、地域医療介護総合確保基金や認知症施策など、地域支援事業の充実に十分な財源を確保することが確認された。
障害福祉サービス等の報酬改定については、介護報酬改定と同様、月額1.2万円相当の福祉・介護職員処遇改善加算の拡充を行うこととなった。ただし障害分野については小規模の事業所が多いこと、制度創設から10年を経過をしていないことを考慮して、改定率は全体でプラスマイナスゼロとした。
社会保障充実策のために1.36兆円程度の予算が計上され、子ども・子育て支援に0.5兆円、地域医療介護総合確保基金に1,600億円(医療分900億円、介護分700億円)、国民健康保険への財政支援1,900億円、難病・小児慢性特定疾病への対応に0.2兆円、年金制度の改善に20億円程度をあてることが確認された。
一方、消費税率10%への引上げが2017年4月に延期されたことに伴い、施策には優先順位がつけられ、年金制度の改善のうち、低所得者への福祉的給付や受給資格期間の短縮は、法律の規定どおり消費税率10%への引き上げ時に実施することとなった。
また低所得者における介護保険料の軽減強化については2段階に分けて実施されることとなり、2015年4月からは第1段階として特に所得の低い人を対象に200億円程度の規模でスタートさせ、完全実施のタイミングは消費税率10%への引上げ時となった。
医療保険制度改革については、協会けんぽに対する国庫補助率について、2014年度末までの時限措置としていた16.4%を2015年度以降も据え置くことが決定した。
また、入院時の食事代の自己負担については、在宅療養との公平等を図る観点から、現在の1食260円から段階的に引き上げ、2016年度から360円に、2018年度から460円とすることとなった。ただし、低所得者や難病患者、小児慢性特定疾病患者は、現在の負担額を据え置く。
2015年4月から施行される生活困窮者自立支援制度には、400億円程度の予算が確保された。
生活保護については、住宅扶助基準および冬季加算に関し、最低生活の維持に支障が生じないよう必要な配慮をしつつ、見直しを行う。また、2017年度の次期生活扶助基準の検証にあわせ、保護のあり方やさらなる自立促進のための施策等の制度全般について、必要な見直しを行っていくことが確認された。
◎塩崎大臣会見概要(平成27年度予算編成 大臣折衝について)
http://www.mhlw.go.jp/stf/kaiken/daijin/0000071033.html