大阪市立大学の富山貴美准教授ら(脳神経科学)のグループは、1月9日、アルツハイマー病の新しい治療薬となる抗体を開発したと発表した。
アルツハイマー病の脳には、アミロイドβというペプチドが細胞外にたまってできる「老人斑」と、タウと呼ばれるタンパク質が過剰にリン酸化され細胞内にたまってできる「神経原線維変化」という2つの病理変化が現れる。
これまで、主にアミロイドβをターゲットとした薬の開発が進められてきたが、十分な有効性が示されていなかった。
今回開発された抗体はタウをターゲットとしたもので、過剰にリン酸化されたタウに結合してこれを除去するというもの。
マウスでの実験では、この抗体の投与により、記憶障害の改善や細胞死の抑制がみられた。また、この抗体は正常なタウには反応せず、アルツハイマー病の脳に蓄積する異常タウにのみ反応するという、高い選択性も認められた。
研究グループは今後、製薬企業と協力しながら臨床試験をめざす。
◎大阪市立大学
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