東北大学の阿部高明教授ら(大学院医学系研究科および医工学研究科病態液性制御学分野)と、慶應義塾大学の福田真嗣特任准教授、曽我朋義教授ら(先端生命科学研究所)は、便秘症治療薬のアミティーザ(一般名:ルビプロストン)に、慢性腎臓病の進行を抑える効果があることを発見した。
研究グループによると、便秘症治療薬のルビプロストンが、腸内環境を改善することで体内の尿毒素蓄積を軽減し、腎臓障害の進行を抑制する効果があることが、マウスでの実験で明らかになったという。
慢性腎臓病は進行性に腎機能が低下する病態で、本来尿として排泄されるべき毒素が適切に排泄されず、血中に蓄積して腎臓や心臓・脳などの各種臓器に悪影響を与える「尿毒症」をきたすことがある。尿毒症は、腎臓病そのものも悪化させることから、尿毒症の症状を軽減させることで、腎臓病の進行を抑制できると期待されていた。
研究グループは、この研究成果により、ルビプロストンが慢性腎臓病の新しい治療薬となりうるとして、さらに研究を進め、治療薬として開発を目指す。
この研究成果は、12月18日に米国腎臓学会学術誌『Journal of the American Society of Nephrology』電子版に掲載された。