メディカル・ケア・サービス株式会社は、8月3日・4日の両日、都内で「介護事例研究発表 全国大会」を開催した。この大会は同社が運営する全国に122棟のグループホームでケアに携わっている現場から寄せられた212事例から、地方予選を勝ち抜いた事例を発表するもので、全国から集まった27事例が2日にわたり発表された。
発表は1件20分ほどの持ち時間で行われ、パワーポイントを使いこなし、写真や図表、時には音楽や音声も駆使しており、学術発表にも引けを取らない充実度。どの事業所も単なる事例報告ではなく、問題をどう整理して、皆でどう解決に向かって検討していったか、その過程をわかりやすく発表していた。
なかでも、本人のそれまでの人生を振り返り、本人の思いに即した調理や畑仕事などの個別ケアに取り組んだ事例(愛の家千葉小倉・みずほ)や、グループホームで最期を迎えた事例(愛の家札幌川沿・すずらん)は、写真を多用することで、その人の人生を垣間見たような気分になり、印象に残るものだった。ご家族の協力なしにはこうした発表もかなわないだけに、いかにスタッフが日ごろから、ご本人とご家族に信頼されているかがうかがえる。
また、回想法を取り入れることで、ご利用者の不安や喪失感を削減した事例(愛の家横浜瀬谷・渚)では、かつては多才な趣味をもたれていたご利用者の意欲を、自己有用感を引き出すことに成功した事例を、さまざまな回想法の紹介とともに発表した。
言葉の増減など、日常生活の中での小さな変化を見逃さず、すべて記録し、そのデータを可視化していたいのが際立っていた。
事例発表後には会場からの質疑応答があり、発表されなかった部分もクローズアップされるなど、より多くの人に知ってもらうことの重要性が示された大会となった。
来賓として招かれた埼玉認知症グループホーム・小規模多機能協議会会長の西村美智代氏は「いずれも皆様の努力が感じられる事例。ぜひもう一度問題点を整理し、冊子として残すことを考えてほしい」と講評を述べた。