東北大学の中里信和教授(てんかん学)、青木正志教授(神経内科学)らのグループは、高齢者てんかんで最も多い側頭葉てんかん患者において、発作の発生部位が右脳か左脳かで、心拍上昇に違いがあることをつきとめた。
論文は9月5日付の米科学誌『Neurology』電子版に掲載された。
発表によると、右側頭葉の発作では、脳波が変化するよりも早く心拍が上昇するのに対し、左側頭葉の発作では、脳波の変化に遅れて心拍が上昇し始めるという。
側頭葉てんかんは、薬剤でコントロールできない場合、外科的治療によって劇的な改善が見込める。しかし、左右どちらの側頭葉で発作が起こっているか診断するのが難しかった。
今回の発見により、診断の精度向上や、発作の予知・予防のための診断基準の開発につながると期待される。
“てんかん”は子供の病気というイメージがあり、実際に発症率は若年期では低下するものの、加齢により再び上昇する。脳血管障害が要因となりやすいが、原因不明のものも多い。
高齢発症のてんかんで最も多いのが側頭葉てんかんだが、前兆がなく、朦朧とした状態が数時間~数日間持続したり、口をもぐもぐさせるなどの無意味な行動を繰り返すといった複雑部分発作がみられる。
複雑部分発作は非けいれん性であるため、てんかんであることを見逃されると、認知症と誤診される可能性もある。
◎東北大学
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