厚生労働省は、8月29日、「平成24年 高齢期における社会保障に関する意識等調査報告書」を公表した。
本調査は、 平成24年7月12日、平成24年国民生活基礎調査(所得票)の対象単位区から無作為に抽出した360単位区内の20歳以上の世帯員を対象に、老後の生活や社会保障についての考えを調査したもの。
【主な調査結果】
■老後に子どもとの同居を希望する人は 27.1%で、前回の平成18年の調査(30.0%)よりさらに低下した。調査が開始された昭和58年は68.2%であり、同居希望者は調査のたびに減少している。
同居の内訳は、条件なしで「同居したい」は 15.7%、「元気なうちは別居し、病気になったら同居したい」は6.7%、「配偶者がいなくなったら同居したい」は 4.7%であった。
■同居を希望する人の割合を年齢階級別にみると、40歳代で16.4%と最も少なく、70歳以上で42.1%と最も多かった。
■子どもとの別居については、「子どもが近くにいれば別居でもよい」が 38.3%、条件なしで「別居したい」が 11.0%であった。
■介護が必要となった時に生活したい場所は、在宅が43.2%[「住み続けた自宅(子どもの家への転居を含む)」18.7%、「高齢者のための住宅」14.1%、「グループホームなどの共同生活を営む住居」10.4%]であった。「特別養護老人ホームなどの施設」と答えた人は29.8%で、およそ3人に1人であった。
■「人生の最後をむかえるとき」にどこで生活したいかという質問では「住み続けた自宅(子どもの家への転居を含む)」が最多の37.5%で、次いで「病院などの医療機関」が 27.9%であった。
■自宅で介護を受けることになった場合、家族だけにみてもらいたいという人は8.1%にとどまり、家族だけでなく外部サービスを受けたいという人が61.3%であった。また外部サービスのみを受けたいという人も12.0%いた。
■今後10 年で自宅周辺に増えて欲しいと思う介護関係の事業所・施設は、「訪問介護・看護サービスを提供する事業所」が最も多く49.1%、次いで「通い、泊まり、訪問が一体的に提供される小規模多機能型居宅介護事業所」が36.5%、「自宅から通って利用するデイサービスを提供する事業所」が33.3%、「高齢者のためのサービス付きの住宅」が30.9%であった。
■老後生活と社会保障の関係については、「老後の生活の準備はまず自分でするが、全部は出来ないので、足りない部分は社会保障でみてもらいたい」とする者が 52.8%と過半数を占めた。ただし、年齢階級別にみると、若い世代では「老後の生活は自分が考えるべきで、若いときからその準備をする。社会保障にはあまり期待しない」の割合が多く、高年齢層ほど「社会保障でみてもらいたい」の割合が多くなっている。
■重要だと考える社会保障の分野は、「老後の所得保障(年金)」が71.1%、次いで「高齢者医療や介護」が48.2%、「医療保険・医療供給体制」が37.6%、「子ども・子育て支援」が29.5%、「雇用の確保や失業対策」が27.2%であった。
■少子高齢化が進行する状況における高齢者と現役世代の負担水準の考え方については、「現役世代の負担の上昇を緩和するために、高齢者の負担が今より重くなることはやむを得ない」とする人が30.4%、「高齢者の負担は現状程度で留めるべきであり、少子高齢化による負担増は、現役世代が負担するべきである」とする者は27.0%であった。
総合的にみて、いずれの世代でも、子どもとの同居・介護を希望する人は減少傾向にあり、かわりに外部サービスや社会保障の充実を求めていることがうかがわれる。
◎厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/