厚生労働省は、8月26日、2012年度医療費の地域差分析の結果を発表した。
都道府県ごとの1人当たりの医療費を人口の年齢構成による差を補正し、全国平均を1として指数化した結果、2012年の1人当たりの医療費水準がもっとも高かったのは福岡県で、指数は1.208。もっとも低かったのは指数が0.874の千葉県だった。福岡県は2010年から3年連続で医療費水準がもっとも高い県となり、千葉県も3年連続でもっとも低かった。
また、後期高齢者医療制度に限って地域差指数の推移を見ると福岡県が3年連続の1位、市町村国民健康保険では佐賀県が3年連続1位だった。
医療費の地域差は、人口の年齢構成や、病床数などの医療供給体制や医療機関の診療パターン、住民の健康に対する意識や生活習慣、受診行動などが要因となっている。
日本の医療は伝統的に「西高東低」とされ、九州をはじめとする西日本の医療資源が豊富なのに対し、東日本、とりわけ首都圏は人口に対して医療資源が不足していると言われている。都道府県別の健康寿命と医療費水準は必ずしも連動していない(2010年の厚労省調査研究では、福岡県の健康寿命は男性40位・女性44位、千葉県の健康寿命は男性3位・女性27位)ことからも、医療費水準の高さは、受診の機会や医療機関の数など「病院のかかりやすさ」が大きく関与していることが伺える。
団塊世代が多く暮らす首都圏で2025年に向けて医療資源の不足が懸念される中、医療の偏りをチェックする指標としても注視していきたい。
◎厚生労働省
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