公益社団法人日本介護福祉士会は、第6次出入国管理政策懇談会・外国人受け入れ制度検討分科会において公表された「技能実習制度の見直しの方向性に関する検討結果(報告)」を受け、見解を公表した。
同報告では、介護等のサービス業の分野の職種拡充について、「受け入れ側の産業実態に即したニーズを把握した上で検討すべき」との見解が示された。また、同月の産業要競争力会議においては「外国人が日本で活躍できる社会」として、技能実習制度を見直し、外国人の受け入れ枠の拡大を「平成27年度中に実施する」ことが明記された。さらに、介護分野における外国人留学生の活躍のために「国家戦力特区における家事支援人材の受け入れの検討を進め、速やかに所要の措置を講ずる」こと、介護福祉士などの国家資格を取得した外国人留学生の卒業後の国内における就労を可能とするために「在留資格の拡充を含む制度設計を年内をめどに行う」ことも明記された。
これを受けて同協会は、基本的な考え方として、「介護は対人援助サービスであり、日本語でのコミュニケーション能力が不可欠であること」、「介護行為は言葉での働きかけが重要な要素となり、コミュニケーション技術も必要であること」を強調。
外国人が日本の介護現場で働く場合でも、十分な日本語でのコミュニケーション能力と介護の基本的な知識、技術、倫理が必要であり、技能実習制度において無条件に外国人が介護分野に参入することは、介護サービスの質の低下を招き、実際に必要とされる労働力として確保できず、「国民が安心して介護を受けられなくなる」。さらに、「利用者の生活、生命に悪影響を及ぼす」ことも考えられ、「対人援助サービスとしての介護を実践していくための最低限の素養についての議論なしに介護分野への拡大を図ってはならない」と表明している。
なお、在留資格については、介護福祉士の国家資格を取得した人については「一定の質が担保されることから日本で働き続けることには問題ないと考えている」との見解を示した。ただし、その場合でも、現場においては「さまざまな課題がある」としている。