滋賀医科大学は、6月5日、アルツハイマー病の発症を抑制するタンパク質を発見したと発表した。
研究は、分子神経科学研究センター西村正樹准教授・遠山育夫教授らの研究グループと、東京都健康長寿医療センター村山繁雄部長との共同で行われた。
老年期認知症の主要な原因であり、高齢化が進むなかで医学的克服が急がれているアルツハイマー病。アルツハイマー病は、脳内にアミロイドβが蓄積することによって引き起こされる。タンパク質ILEIはアミロイドβの脳内産生を減らす作用をもつが、アルツハイマー症患者の脳ではILEI の発現が減少していた。
研究では、タンパク質ILEIを新たに同定することに成功。次に、アルツハイマー病モデルマウスにILEIを強制的に発現させることにより、副作用なく発症が抑制されることを確認した。これまで、セクレターゼとよばれるタンパク質分解酵素の活性阻害剤がアミロイドβ 産生を阻害する薬剤として開発されていたが、副作用のため臨床応用は阻まれている。ILEI はセクレターゼ活性を阻害することなくアミロイドβの産生を抑制する。このことから、ILEIが予防法や治療法の開発に新たな境地を開くことが期待されるという。
研究成果は6月4(水)(日本時刻18:00)付けの「ネイチャーコミュニケーションズ」誌にオンライン掲載された。
◎滋賀医科大学
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