7月14日〜16日まで東京ビッグサイトで開催された「モダンホスピタルショウ2010」では、3年前より開催されている「看護のアイデア de 賞」の今年の受賞作品の展示が行われた。
この賞は主に患者のケアに携わる看護師などのコメディカルスタッフの着眼によって生み出された、さまざまな改善工夫・アイデア作品を応募・表彰するものだが、受賞作品のなかには病院内だけでなく、広く介護現場や一般家庭でも使えるアイデアが満載。
今回はそのなかから、高齢者の生活に身近な3作品を紹介する。
準グランプリの「杖ピタッ!」は、100円ショップなどでも売っているすべり止めマットを30cm四方程度に切って、両面テープなどで杖を置く位置に貼り、杖が倒れるのを防げるアイデア。杖が手放せない方がトイレなど、一時的に杖をどこかに立てかけておく必要がある場合、薄いゴム製のすべり止めは邪魔にならないうえ、その前で杖をサッと手放してもしっかり吸い付くように立てかけられる。
壁の色とは異なる色のマットを使い、「杖置き場」と表示すれば一目瞭然。施設やデイサービスでも、すぐに導入できるアイデアだ。
グランプリを受賞した吸飲ビンカバー「クルリンビン」は、痰の吸引が必要な方に、ボトルに溜まった痰が見えないように配慮したアイデア。看護師など医療従事者は内容物を確認する必要があるため、容器は透明であることが求められるが、患者や家族にとって、それが常に視界に入るのはあまり気分のよいものではない。
そこで、筒状のペットボトルを切り開き、模様のついたカラーテープを張って目隠しカバーをつくり、吸引ボトルに巻きつけるだけ。着脱も容易で洗浄しやすいのもグランプリに輝いた理由の一つ。
佳作に選ばれたエプロン固定具「クリップdeエプロン」は、食事のときなどにエプロンがない場合に、簡単にタオルで代用できるアイデア。事務用のクリップ2個を用意し、首にかけまわす長さ分の紐やリボンを結びつけるだけ。これなら家にある材料で簡単に作れ、タオルだけを取り替えて何度でも使える。高齢者だけでなく、ベッド上で食事をする際やお子さんにも使うことができる。かわいい形のクリップやリボンを利用すれば、つける側もつけられる側も心が和むに違いない。