5月、小学館から『介護はつらいよ』(大島一洋著)が発行された。
これは、編集者としてバリバリ仕事をしていた筆者(男性)に、突然降って沸いた両親の介護――これは壮絶だけど明るい、男性による介護を記した小説のような実話である。
その日がいつかくることはわかっていた。著者63歳の秋。歌人の93歳父が入院したのだ。88歳認知症の母には介護が必要だ。母は自分が息子であることもわからないが、ついに妻子を残し帰郷することを決意する。
その後も入退院を繰り返す両親。男ひとりの孤独な介護は続く。疲れを紛らわせるための酒が進むのも、むべなるかな。2年後90歳の母を看取るが、父の介護は終わらない。
父と弟は歌人、著者自身も元文芸誌編集長で現役編集者と文芸家族だからこそ、介護生活もどこか味がある。著者自身が交通事故に遭って入院するなど、度重なる絶体絶命のピンチは壮絶だが、それを感じさせない飄々とした筆致が冴える。
【目次】
第1章 母を看取る
1 全身ボロボロの父
2 母、ひょうきんな認知症
3 介護ストレスで酒に溺れる
4 父への手紙
5 老人ホームの選び方
6 母、死す
7 母の思い出
8 告訴すべきか
9 75歳以上は早く死ね
10 父、手術。私は交通事故
11 大便出たか?
12 畑仕事を拒否する
第2章 父を看取る
1 鼻歌を歌う父
2 父の経歴
3 父との確執とストレス
4 介護か同居生活か
5 義母、死す
6 私のボケ
7 父に認知出る
8 父、検査入院
9 父、体調急変
10 父、老人ホームに入居
11 父、前立腺ガン。余命1年
12 父、満百歳を迎える
13 父、食う、寝るだけの生活
おわりに
■書名:介護はつらいよ
■著者:大島一洋
■定価:本体1,400円+税
■発行:小学館
■体裁:四六版・224頁
■ISBN:9784093883634
◎小学館
http://www.shogakukan.co.jp/