国立社会保障・人口問題研究所は、4月11日、「日本の世帯数の将来推計(都道府県別推計)」を公表した。
世帯数の将来推計は5年ごとにまとめており、都道府県別に5つの家族類型(単独世帯、夫婦のみの世帯、夫婦と子からなる世帯、ひとり親と子からなる世帯、その他の一般世帯)ごとにみた将来の世帯数を求めている。今回は2010年の国勢調査をもとに2010~35年の25年間についての推計を行った。
推計によると、2035年までに65歳以上の高齢世帯は25%近く増加し、高齢の単独世帯は53.1%も増加することがわかった。とくに東京都では、2035年には高齢の単独世帯が100万世帯を超えると推測され、大都市圏を中心に地域包括ケアシステムの構築が待ったなしの状態であることが示された。
推計の主な内容は以下のとおり。
2010~15年に世帯数が減少するのは15県だが、2035年までには沖縄県を除く46都道府県で世帯数が減少する。
41道府県で2035年の世帯数は2010年よりも少なくなり、全世帯の総数は全国で4.4%減少する。
平均世帯人員は、2010年から2035年にはすべての都道府県で減少し、東京都では、2015年には2.0人を下回る。
2010年に28都道府県で最大の割合を占めていた単独世帯は、2025年にはすべての都道府県で最大の割合を占めるようになる。
全国の世帯主が65歳以上の高齢世帯は、2010年の1,620万世帯から2035年は2,021万5,000世帯へと24.8%増加し、都道府県別に見ると山口県と島根県を除く46都道府県で増加する。高齢世帯数の増加率が高いのは沖縄県の61.7%、神奈川県の45.4%、東京都の41.7%の順で、大都市地域を中心に9都県で増加率が30%を超える。
65歳以上の世帯主が全世帯主に占める割合は、2020年にはすべての都道府県で30%以上となり、2035年には41道府県で40%を超える。75歳以上の世帯主が全世帯主に占める割合は、2035年には愛知県と東京都を除く45道府県で20%以上となる。
世帯主が65歳以上の高齢の単独世帯は、2010年と2035年を比較すると全国で53.1%増加し、すべての都道府県で増加する。もっとも単独世帯が多い東京都では、2010年の64万7,000世帯から2035年は104万3,000世帯に増加し、100万世帯を超える。
増加率が高いのは沖縄県の92.3%、埼玉県の82.7%、神奈川県の81.4%、滋賀県の78.0%、宮城県の74.7%、千葉県の74.4%の順で、東日本の大都市地域で高いところが目立つ。
また、高齢の夫婦のみ世帯は、2010年と2035年を比較すると全国で15.8%増加する。
高齢世帯に占める単独世帯の割合は、2035年には山形県を除く46都道府県で30%以上となり、9都道府県では40%を超える。 65歳以上人口に占める単独世帯主の割合はすべての都道府県で上昇し、東京都では 2035年に27.7%に達する。
◎国立社会保障・人口問題研究所
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