マーケティングリサーチと分析において世界最大の企業であるニールセンは、3月11日、「高齢化に関するグローバル調査」の結果を発表した。これによると、世界の消費者に占める65歳以上の人口とその購買力が増加する中、小売店やメーカー、サービス事業者には高齢者の健康と快適な暮らしをサポートするために、より一層の取り組みが求められていることが明らかになった。
60の国と地域で15歳以上のインターネットユーザー、3万人以上を対象に実施された「高齢化に関するグローバル調査」では、回答者のおよそ半数(51%)が世の中の広告は高齢者をターゲットにしておらず、ラベルの読みやすい商品が不足している(50%)と答えている。
高齢者のニーズに対応した商品やサービスに関する質問では、全体の43%がパッケージの開けやすい製品が少ないと回答し、「特定の栄養ニーズを満たす食品」(45%)、「少量パックの食品」(44%)、「わかりやすい栄養成分表示」(43%)が不足していると答える人もそれぞれ4割を超えている。
また、各種サービスの利用が難しいと感じる人も多く、「住宅関連」(46%)、「交通機関」(44%)、「金融」(44%)、「医療保険」(39%)、「出前・宅配」(36%)などで特に目立った。
一方、日本は高齢化が進んでいるにも関わらず、高齢者向けの製品、サービスが見つけやすい・利用しやすいと感じている人は世界平均よりも少なくなっている。(図1参照)
同社のコンシューマー&ショッパー・インサイト部門シニア・バイス・プレジデント、トッド・ヘイルは、「今回の調査結果はメーカー、小売店、そしてマーケティング担当者に、高齢化する消費者にきちんと向き合い、応えるためにより一層の努力が求められていると気付かせるだろう。日本やドイツ、イタリアなど多くの先進国で既に65歳以上の高齢人口が14歳未満の若年人口を逆転したと報告されている。また、世界中で高齢者の数が増加しているだけでなく、他の世代に比べて時間に余裕がある人が多いことから、その購買力も高まっている」とコメントしている。
北米のメーカー、サービス事業者、小売店の間では高齢消費者への対応が比較的進んでいる。高齢者のニーズを「完全に満たしている」との回答は、「分かりやすい栄養成分表示」(53%)、「特定の栄養ニーズを満たす食品」(52%)、「明るい照明」(51%)、「多目的トイレ」(38%)、「バリアフリー通路・ドア」(37%)、「電動ショッピングカート」(36%)、「オンライン宅配サービスの種類」(34%)、「車いす対応の幅広い通路」(34%)、「丁寧な接客」(33%)の各項目で他の地域を上回った。
一方、アジア太平洋と中東・アフリカで消費者の多くが「ニーズを完全に満たしている」と感じるのは、「開封しやすいパッケージ」(両地域とも54%)、「休憩用ベンチ」(アジア太平洋:29%、中東・アフリカ:25%)、「レジ袋詰めの手伝い」(同24%、27%)、「商品を手に取りやすい陳列棚」(同30%、33%)、そして「少人数世帯向けの商品展開」(同23%、27%)となっている。
全体の半数近く(46%)が高齢者のニーズに応える住宅関連サービスや支援は少ないと感じている。全回答者の2人に1人は配偶者とともに(38%)、あるいは専門スタッフによる支援を受けながら(12%)、自宅で生活しようと考えている。老後に家族を頼りにする人が多いのは中東・アフリカ地域で、45%が配偶者と、また、世界全体平均(15%)のほぼ2倍の27%が自分の子供と暮らす予定であると答えている。
また、北米ではおよそ4分の1(23%)がサービス付き高齢者向け住宅への入居を考えており、全体の15%を上回る。アジア太平洋では全体平均の13%を超える17%が介護施設を利用するだろうと回答している。
日本は世界の他地域に比べると、配偶者や子供と暮らすと答えた人は少ない一方、老人ホームで暮らすと答えた人は多くなっていた。
■調査全文はこちら
http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0357034_01.pdf
◎ニールセン
http://www.netratings.co.jp/