<低い介護休暇の利用状況>56~60歳の1/4に1「介護が必要な親」――ダイヤ高齢社会研究財団調査

公益財団法人ダイヤ高齢社会研究財団は、3月19日、「超高齢社会における従業員の働き方と企業の対応に関する調査報告書」を発表した。

同報告書は、財団設立20周年記念事業として実施したもの。「高齢期における働き方」とともに、「親の介護と仕事の両立」についてもページを割き、中高年従業員の介護リスクや介護休暇取得の実態、介護離職の可能性などについて分析している。
主な調査の結果は、以下のとおり。

■56~60歳の4人に1人が「介護が必要な親がいる」と回答

自身と配偶者の両親のうち、「現在、介護が必要な人数」を年齢層別に集計したところ、「現在、介護が必要な親」のいる割合が最も高いのは「56~60歳」層で23.5%。ほぼ4人に1人が該当した。
さらに将来の可能性も含めた「介護リスクのある親」がいる割合は、「51~55歳」層が最も高く、51.4%と過半に達した。やや若い世代の「46~50歳」層でも、42.7%と高い割合を示している。また、「51~55歳」層では、2人以上の複数の介護の可能性があるとする割合も28.6%と高い。
この結果は、近い将来、親の介護が、中高年従業員の就労にとって大きな課題となりうることを示唆している

51歳以上を対象に、「介護が必要な親がいる」人の健康状態を、「介護が必要な親はいない」人との比較で検証したところ、「身体的に健康ではない」と回答した割合は、「介護が必要な親はいない」人では12.7%、「介護が必要な親がいる」人では15.7%%で、3.0ポイントの差がついた。また「精神的に健康ではない」と回答した割合は、「介護が必要な親はいない」人は8.0%、「介護が必要な親がいる」人は10.3%で、親が介護状態になると「身体的健康」「精神的健康」ともに悪い影響があることがわかった。

「現在、介護が必要な人数」と「近々介護が必要となる可能性がある人数」を合計した「介護リスクのある人数」について、「管理職」と「管理職以外」に分けて集計したところ、管理職の「51~60歳」層では、「介護リスクのある人数」が「1人」とする割合が21.1%で、「複数人」が31.6%。両者をあわせると52.7%と過半数に介護リスクがあり、多くの管理職が親の介護のために職責を全うできなくなるリスクを抱えていることがわかった。

介護に年次有給休暇をあてる人が9割超

介護のために休暇・休業を取得した人に、利用した制度について尋ね、その結果を介護が必要な人数が「1人」と「複数人」の場合に分けて比較した。
法定制度の「介護休業制度」を利用した人は、介護対象者が「1人」では1.1%、複数人では利用した人はいなかった。また「介護休暇制度」も「1人」で6.8%、「複数人」で3.7%と低い利用率であった。
一方で、「年次有給休暇制度(1日単位)」は、いずれの人数の場合でも9割を超え、「年次有給休暇(半日・時間単位)」も3割近い利用率だった。

現在、法定の介護休業制度要介護状態の対象家族1人につき通算93日まで、また介護休暇制度要介護状態の対象家族1人の場合、年間5日(2人以上の場合10日)まで取得できる。しかし、介護のために仕事を休む必要が生じた人の大半は年次有給休暇で対応していることがわかった。

■「遠居」と「同居」で異なる希望介護支援制度

親の住まいとの距離別に、「重視する介護支援の制度・施策」の回答率の差が大きい項目に着目したところ、全般的な傾向として、「同居」と「遠居」(電車や自動車で1時間以内に移動できる「近居」以上の距離)の間で差が大きくなることが多かった。

「遠居」のほうが回答率の高かった項目は、「転居のない地域限定の勤務制度・希望勤務地制度」で、「同居」では20.4%に対し、「遠居」では27.6%と7.2ポイント差。
一方、「同居」のほうが回答率の高い項目は、「労働時間の短縮制度(1日の時間短縮)」「労働負荷や労働時間・日数の少ない職務への配置」「時間外労働や深夜労働の免除・短縮」などで、「同居」の人では、労働日数および労働時間を軽減する制度・施策に対する要望が大きい。

介護による離職の可能性が高いのは、女性と「同居」

親が重度の要介護状態になった場合の離職可能性について尋ねた結果が全回答者で見ると、11.4%が「可能性が大きい」と回答した。
男女別に見ると男性の7.1%に対して、女性では26.3%と4倍近い割合となっている。この結果は、雇用動向調査(2011年)による、介護を理由とする離職者の78.9%が女性であるという結果とも符合した。
介護発生時の担い手別では、担い手を「回答者夫婦」と想定している人で19.6%と高くなっている。
回答者と被介護者との住居の距離(同居、近居、遠居)による違いも明らかになった。離職可能性が最も高いのは「同居」(26.6%)で、「近居」(14.6%)、「遠居」(11.9%)と比較して突出して高い。「同居」では介護労働の当事者となってしまうことにより、肉体的、精神的に負担が高まるためと考えられる。被介護者の人数別に見ると、複数人のほうが離職可能性は高いものの、さほどの違いは見られなかった。

女性の介護離職の可能性は、男性の約4倍であり、この理由を探るため、男女別に親との同居率の関係を見たところ、女性の介護離職の可能性が大きい人では、親との同居率は43.8%で、男性の19.4%の2.2倍で、女性に介護を依存している現状が確認できた。

将来、親が重度の介護状態になった場合に、誰が介護の担い手になるかについて尋ねた。その結果を男女別かつ介護離職の可能性別に集計した。男性を見ると、介護離職の可能性の高い人は、担い手は「自分自身」(62.9%)と「配偶者」(60.3%)が突出して高い。これに対し、可能性の低い人では、「あなた」は28.2%にすぎず、その代わりに「その他の親族」(51.7%)、「配偶者」(48.7%)の割合が高い。
次に女性で介護離職の可能性の高い人を見ると、「自分自身」が84.4%と突出して高い。「配偶者」は22.3%と少数だった。一方、可能性の低い人は、「その他の親族」(49.2%)、「自分自身」(44.2%)の順となっている。
また、男女とも、介護離職の可能性の低い人は、担い手として「施設」を想定している割合が高いこともわかった。

◎ダイヤ高齢社会研究財団
http://www.dia.or.jp/

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