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＜効果に期待＞脳梗塞予防薬に軽度認知症の進行を抑える効果

国立循環器病研究センターの猪原匡史医長らの共同研究グループは、2月27日、脳梗塞の再発予防薬「シロスタゾール」に、軽度認知症の進行を抑える効果が期待できると発表した。

シロスタゾールは血管内に血栓を作りにくくし、血管を広げて脳の血流を増やす効果がある。アルツハイマー病をはじめとする認知症患者には、しばしば脳の血管に障害が起こることから、シロスタゾールが認知症を抑える効果があるのではないかと予想して研究が開始された。

研究方法は、アルツハイマー病の症状抑制に用いられるアリセプトを服用、もしくはそれに加えてシロスタゾールを服用したアルツハイマー病患者で、1年以上の間隔で2回以上認知機能テストを受けた患者のカルテを分析するというもの。その結果、シロスタゾールを併用していた患者（69例）は、服用していない患者（87例）と比較して認知機能の低下が抑えられていることがわかった。特に記憶の再生や自分の置かれている状況を正確に把握する能力（見当識）の低下が抑えられており、これらの機能が特にアルツハイマー病の初期で障害されやすいことから、シロスタゾールが初期のアルツハイマー病（軽度認知症）に有効である可能性があると推察している。

今後はこれらのデータを基に、国立循環器病研究センターを中心として2014年中に医師主導治験を開始し、シロスタゾールの軽度認知障害の患者に対する有効性を確認する予定という。

これらの研究成果は、米国のオンライン科学雑誌「PLOS ONE」に2月27日付で掲載された。

◎国立循環器病研究センター
http://www.ncvc.go.jp/index.html