国民生活センターは、2月6日、「親切心につけこむ“老人ホーム入居権”の買え買え詐欺にご注意!」と、注意喚起の発表を行った。
最近、有料老人ホームや介護施設などに入居する権利に関する買え買え詐欺が増加しており、同センターにも相談が相次いでいる。その方法は、人の情に訴え、「入居できなくて困っている人がいる」などと言い、“人助け”だと思わせて高齢者に老人ホーム入居権を購入させようとする極めて悪質な手口。
高齢者にとって老人ホーム等への入居はひとごとではなく身近な問題であり、そうした高齢者の親切心や同情心につけこんで言葉巧みに購入させようとする。こうした不審な電話があった場合には、相手にせずすぐに電話を切って消費生活センター等に相談するよう呼びかけている。
同種の相談は、2010年度以降に寄せられた相談件数は149件だったが、2013年度は12月末までで前年度同期の3倍強の相談が寄せられている。相談者の年代別では、70歳代が6割弱で、ほとんどが60歳代以上と、高齢者の割合が非常に高い。そして、同情心に訴える手法からか、契約当事者の性別は女性が8割弱を占める。
以下に、代表的な事例を紹介する。
自宅に老人ホーム社員権のパンフレットが届いた後、別の業者(A社)から「社員権がまだ空いているか聞いてほしい」との電話があった。パンフレットの医療会社に電話したら「よかったですね。ぎりぎりまだ買えます」と言われた。A社に伝えたところ「老人ホームの入居を待っている人がたくさんいる。名義を貸してほしい。お願いします」と何度も言われ、人助けになるならと思い、承諾し、名前と住所と年齢を伝えた。
(2013年10月受付 契約当事者:70歳代 女性 無職)
数日前、来春完工予定の介護療養型老人ホームのパンフレットと入居権利申込書が自宅に届いた。今日、別の業者(B社)から「この老人ホームに入居したい人が6、7人いる。業者からの申し込みは受け付けてもらえない。入居権利申込書を持っている人しか申し込めない。評判がよいのでいっぱいになっているかもしれない。迷惑をかけないので、まだ空いているかどうかあなたの名前で聞いてほしい」と電話があった。人助けになるかと思い、指示された老人ホームの電話番号に電話した。
(2013年9月受付 契約当事者:80歳代 男性 無職)
同センターでは、以下のようにアドバイスしている。
1.「代わりに申し込んで」「名義を貸して」「あなたの名前で買った」などと持ちかけてくる不審な電話は買え買え詐欺です。相手にせずすぐに電話を切る
2.業者とやりとりしてしまっても、話をうのみにせず、絶対にお金を払わない
3.すぐに消費生活センター等に相談する
4.日頃から家族や身近な人による高齢者への見守りが大切
◎国民生活センター
http://www.kokusen.go.jp/ncac_index.html