京都大学とサッポロビールは、マウス実験により、漢方薬で使われているホップ抽出物に、アルツハイマー病に対する顕著な発症と進行の予防効果が期待できることを発見したと発表した。
同研究は、アルツハイマー病モデルマウスを用いて、ホップ雌株の球花エキスをアルツハイマー発症前の若齢期から投与。実験の結果、ホップエキスを摂取していないマウスでは9ヶ月齢から記憶・学習能力に低下がみられたが、ホップエキスを摂取したマウスではそれが15ヶ月齢以降となり、アルツハイマー病の発症が顕著に遅延することが判明した。研究を行ったのは、垣塚彰 京都大学大学院生命科学研究科教授、笹岡紀男 同研究員らの研究グループで、成果は米国科学誌「PLoS ONE」誌に米国東部時間2014年1月29日に掲載された。
今後は、漢方薬、健康食品、サプリメント等において、より有効性の高い製品の提供が行えることが期待できる。サッポロビール株式会社では、この成果に基づく知財権のライセンスシングを受け、長年のホップ育種、加工・利用技術、および分析技術を生かし、「ホップエキスを含有する商品の開発を行い、上市を目指す」としている。
ちなみに、本成分は、ビールにはほとんど含まれておらず、ビール摂取にアルツハイマー予防効果は期待できない。
同研究は、厚生労働科学研究費補助金、創薬基盤推進研究事業および科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業発展研究の支援によって行われたもの。
◎サッポロビールHP
http://www.sapporobeer.jp/company/index.html
◎京都大学大学院生命科学研究科
http://www.lif.kyoto-u.ac.jp/j/modules/school/content0002.html