東京都消費者被害救済委員会は、6月28日、東京都消費生活条例に基づき、「有料老人ホームの退去に係る紛争」の処理を委ねたと発表した。
同委員会は、東京都消費生活総合センター等の相談機関に寄せられた苦情・相談のうち、都民の消費生活に著しく影響を及ぼし、または及ぼすおそれのある紛争について「あっせん」や「調停」を行うことにより、公正かつ速やかな解決を図るため、東京都消費生活条例に基づき設置された知事の附属機関。
今回、同委員会に処理を委ねられた案件内容は以下のものである。
・申立人(70代女性)は、長年持病があり認知症の夫をすぐに入居させることができる介護付有料老人ホームを探していたが、なかなか見つからず困っていたとき、仲介業者から相手方の老人ホームを紹介された。
・見学に行くと、「キャンペーン中なので安くなっており、約350万円支払ったらすぐに入居できる。病気が再発したら提携している病院に入院できる」と説明を受けたため、2008年9月下旬には契約して入居申込金と入居一時金を一括で支払い、夫を入居させた。
・2009年3月に夫は入院し、医者から「治療は長期間になる」と言われ、入院費用と老人ホームの月額利用料の両方を支払うのは大変なので、4月、ホームに解約届を提出した。
返金額について問い合わせた際、「入居一時金は高齢者割引制度での契約なので、返金はわずかしかない。2カ月分の管理費等を差し引くと返金はない」と説明された。
・申立人は、高齢者割引制度での契約をしたとの認識はなく、ホームへの支払金額のうち半分ぐらいは戻ってくるだろうと思っていたが、相手方が返金を拒んだことから紛争になった。
この紛争の処理のため、同委員会は申立人(消費者)および相手方(事業者)双方から事情を聞き、消費者契約法などと照らし合わせながら紛争解決に向けた取り組みを行う。
◎RASE/2010/06/20k6s300.htm" target="_blank">報道発表資料
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