NITE(ナイト:独立行政法人製品評価技術基盤機構)は、10月24日、冬の高齢者の製品事故防止について注意喚起を行った。
高齢者の製品事故(NITEでは60歳以上を高齢者としている)は、平成20年から24年度までの5年間に2,108件発生し、その数は増加する傾向にある。運動機能や感覚機能が低下するに高齢者は、不注意や誤った使い方による「製品に起因しない事故」が多く、被害の程度も重篤になりやすい。これから冬に向かって事故件数が増加する傾向があり、事故防止のためには本人はもちろん、周囲の注意が必要だ。
NITEでは、リーフレットを作成し、注意を呼びかけている。
■高齢者の事故は11~2月に多発
高齢者の事故を製品別に見ると、もっとも多いのが「ガスコンロ」で162件、「石油ストーブ」160件、「電気ストーブ」150件と続く。人的被害をもたらす事故の件数では、「石油ストーブ」78件、「ガスコンロ」59件の順で多く、石油ストーブでは死亡30件、重症11件と大きな被害をもたらしている。
事故の月別発生件数では、11~2月に事故が増加。5年間で12月は280件、1月は264件で、もっとも少ない5月の113件の倍以上となっている。
事故の年代別件数では、60歳代から年齢が上がるにつれて被害者の数は減少するが、死亡者数では80~84歳が32人ともっとも多い。死亡者の割合は年齢が上がるにつれて増加し、90歳以上は40%となっている。
高齢者の事故の原因をみると、「製品に起因しないもの」が583件で36.2%ともっとも多く、次いで「製品に起因するもの」27.7%、「不明」23.9%と続いている。「製品に起因しないもの」のうち「誤使用や不注意によるもの」が504件となっている。
■おもな事故の事例
・ガスコンロ
てんぷらなど揚げ物を調理中に放置し、油が加熱されて発火した(70~74歳・男性・軽症)
グリルにつまった油脂などに火がついた(60~64歳・男性・軽症)
着衣に火がついた(80~84歳・女性・死亡)
・石油ストーブ
カートリッジタンクのふたの締め方が不十分で、もれた石油に火がついた(年齢不詳・男性・死亡)
ストーブに洗濯物が落下して火がついた(70歳代・男性・住宅が全焼)
・電気ストーブ
衣類や布団が放射熱で加熱または接触して火がついた(85~89歳・男性・死亡)
◎NITE(ナイト:独立行政法人製品評価技術基盤機構)
http://www.nite.go.jp/