カルピス株式会社は、10月29日、乳酸菌飲料を継続的に飲用することで、高齢者のQOLが改善する可能性を認めたと発表した。
研究は、同社発酵応用研究所と愛媛大学大学院医学系研究科公衆衛生・健康医学分野の谷川武教授との共同で行い、50年後の日本の高齢者比率に近いとされている愛媛県越智郡上島町岩城島の60歳以上の住民を対象に、乳酸菌飲料の飲用とそれをきっかけとする交流の場を設けることで行われた。
その結果、調査開始時と継続飲用8週後を比較すると、健康関連QOL尺度SF-8™の「心の健康」で有意な上昇が、また、「全体的健康感」や「活力」などても複数の項目で上昇の傾向が認められたという。研究結果は、10月23日から開催された第72回日本公衆衛生学会にて発表された。
【調査の概要】
■目的:乳酸菌飲料の継続飲用による心身の健康度への効果を検証すること。
■方法:
・希釈タイプの乳酸菌飲料(希釈時150ml)を自身で希釈して調製し、1日1杯を8週間継続飲用する。
・2週間ごとに参加者全員が集まる集会を開催し、体感効果などを話し合うコミュニケーションの場を設ける。
・評価は飲用開始時、4週後、8週後に実施。
■対象者:愛媛県・上島町岩城島在住の60歳以上の男女33名(男性13名、女性20名、平均70.7±6.3歳)
■調査方法:
1.SF-8™:健康関連のQOL尺度で、①身体機能、②日常役割機能(身体)、③体の痛み、④全体的健康感、⑤活力、⑥社会生活機能、⑦日常役割機能(精神)、⑧心の健康という8つの尺度に対応するスコア、および身体的健康と精神的健康をあらわす2つのサマリースコアを算出することができ、高齢者のQOL評価を短時間で行えるため疫学調査などで国際的に広く用いられている。
2.体調アンケート
■調査期間:2012年10月2日~11月27日
【結果】
調査開始時と継続飲用8週後の比較において、SF-8™の尺度では、「心の健康」で有意な上昇が認められ(p<0.05)、「全体的健康感」「活力」「日常役割機能(精神)」の複数の項目で上昇の傾向(p<0.1)が認められた。
また、精神面の総合的な指標である「精神的サマリースコア」で上昇の傾向(p<0.1)が認められ、特に精神面のQOLについて向上が示唆された。
◎カルピス株式会社
http://www.calpis.co.jp/