民間シンクタンク「医療経営情報研究所」が発行する定期刊行誌『介護人材Q&A』では、介護施設における諸経費の削減取り組みに関する実態調査を行い、10月28日にその結果を公表した。
調査対象は『介護人材Q&A』の読者および介護施設から一定の方法で抽出した1,600施設で、回答のあった203施設等を集計。内訳は、介護老人保健施設24.1%、特別養護老人ホーム52.7%、病院5.9%、グループホーム5.9%、有料老人ホーム5.9%、その他5.4%だった。
今回の調査結果からは、どの施設・病院(以下、単に「施設」)も、ムダの排除や固定費の削減努力を、年度方針・部門方針等として徹底させていることがうかがえる。介護は医療とともに成長産業と謳われ、新規参入事業所も増えているが、その反面、適正サービスを提供するために欠かせない正規職員の採用が年々厳しさを増し、人手不足が慢性化している。
人員体制が十分でない中で、利用者に提供するサービスの質を維持・向上していくにはどうしたらよいか、本調査の自由記入欄をみると、各施設とも「経費削減」を経営の重要な柱と位置づけているが、その前提条件として「サービスの質を低下させないこと」をあげており、その両立に苦心している様子がうかがえる。
【調査結果のポイント】
■経費削減の取り組み
・ほとんどの施設で経費削減の取り組みあり。半数が「5年以前」から実施
・7割が経費削減の取り組みを明文化
■経費削減の対象項目
1)人事管理に関するもの
・削減対象項目として3割を超えているものは、「アルバイト、パート、契約社員の採用」、
「賞与に評価制基準を導入」の2つで、ともに31.0%(複数回答)
2)日常業務活動に関するもの
・事務的業務では「裏面コピー」、購買は「相見積り」、消耗品は「まとめ買い」「一括保
管」など(複数回答)
3)固定費(人件費以外)に関するもの
・蛍光灯の本数制限等のほか、利用者居室のエアコン、テレビ等も経費削減対象(複数回答)
■今後、高騰すると予想される経費
・上位3項目は、「人件費」(82.4%)、「光熱費」(81.9%)、「修繕費」(74.6%)
(5つまでの複数回答)
◎『介護人材Q&A』
http://www.e-sanro.net/sri/books/iryoukeiei/kaigo/