ファイザー株式会社は、慢性的な痛みによる通院経験がある日本全国の20才以上の男女5,150名および、慢性疼痛の治療経験を有する医師103名を対象に、インターネット調査を実施し、その結果を発表した。
痛みは難治化する前に、適切な診療が行われることが重要だが、昨年実施した調査「47都道府県比較 長く続く痛みに対する意識・実態調査」(全国の20才以上の男女/9,400人)では、慢性疼痛を抱える人の74.3%が「痛みがあっても我慢するべき」と考えていた。また、通院経験のある患者では、42.3%が複数回にわたり通院先を変更していることも分かった。
そこで、今回は、慢性疼痛を抱える人の治療の実態や通院先変更を繰り返す要因を探るため、患者と医師の認識の違いやコミュニケーション行動などを検証した。(調査期間:2013年5月31日~6月3日)
■慢性疼痛を抱える人のなかで、「現在、通院している」のは36.7%で、63.3%は現在病医院に通院していない状態
調査対象の「通院経験を有する慢性疼痛を抱える人」5,150人を対象に、現在の通院状況について尋ねたところ、「現在、通院している」と回答したのは36.7%(1,892人)で、残りの63.3%(3,258人)は現在病医院に通院していないことが分かった。
■病医院に通院していない慢性疼痛を抱える人の約半数(48.4%)は、“痛みが緩和していない”にも関わらず通院していない
現在非通院の3,258人を対象に、「長く続く痛みの治療のために、病医院に通院されていない理由」について質問したところ、「痛みが緩和したため通院していない」に「あてはまる」51.6%(1,682人)、「あてはまらない」48.4%(1,576人)と、約半数の人は痛みが緩和していないにも関わらず、治療を中断していることが判明した。
■「治療目標を確認した」と認識しているのは、医師では61.2%、患者では34.3%
医師103人に「慢性疼痛治療の際に、普段患者さんと治療目標について確認していますか?」と尋ねると「治療目標を確認している」と回答した割合は61.2%(63人)。一方、通院経験を有する「慢性疼痛を抱える人」5,150人に、「長く続く痛みの治療の際に、医師と治療目標について確認しましたか?」と質問したところ、「治療目標を確認した」と回答した割合は34.3%(1,766人)、治療を中断された方1,576人のなかでは、20.4%(322人)だった。
■医師の治療目標は「痛みの軽減」(52.4%)が最も多く、次いで、「日常生活動作の改善」(27.0%)。
一方、医師と治療目標を確認していない患者は、「痛みの軽減」(42.5%)と同水準で「痛みの完治」(41.3%)を自己目標に設定
患者と治療目標を確認した医師63人に「慢性疼痛治療の際に、患者さんと確認する(した)治療目標とはどのようなものですか」と質問したところ、「痛みの軽減」52.4%(33人)が最も多く、次いで、「日常生活動作の改善」27.0%(17人)が挙げられた。
「医師と治療目標を確認した」患者1,766人に「長く続く痛みの治療の際に、治療目標としていることはどのようなものか」と質問したところ、「痛みの軽減」59.4%(1,049人)が最も多く、「痛みの完治」20.0%(353人)が続いた。また、「医師と治療目標を確認していない」患者3,384人に同じ質問をしたところ、「痛みの軽減」42.5%(1,438人)と同水準で「痛みの完治」41.3%(1,398人)が自己目標に挙げられ、目標を確認した患者としていない患者で差が見られた。
■医師の91.3%が患者と治療内容について「十分に対話している」と思っている。一方、通院中患者で「十分に対話している」と思っているのは73.8%、治療中断者では44.6%と半数以下
医師103人に「患者と治療内容について十分に対話していますか」と質問したところ、「はい」27.2%(28人)、「どちらかと言えばはい」64.1%(66人)と91.3%の医師は対話していると答えた。また、通院中の患者1,892人に「医師と治療内容について十分に対話していますか」と尋ねたところ、「はい」23.7%(448人)、「どちらかといえばはい」50.2%(949人)と73.8%が「対話している」と回答。一方、治療を中断した1,576人に「医師と治療内容について十分に対話していましたか」と尋ねたところ、「はい」8.4%(133人)、「どちらかと言えばはい」36.2%(570人)と「対話していた」と回答した割合は44.6%に止まった。
さらに、対話が十分にできなかった理由を、治療内容について十分に対話していない/対話していなかった患者2,067人に質問したところ、通院中の患者495人では「医師が忙しそう」36.0%(178人)が最も多く、「自分が症状を上手く説明できなかったから」28.5%(141人)が続いた。治療中断者873人でも「医師が忙しそう」38.3%(334人)が最も多く、同じく「自分が症状を上手く説明できなかったから」25.4%(222人)が続いた。
■医師からの治療内容の説明を「理解している」割合、通院中患者の81.3%に対し、治療中断者は58.0%にとどまる
通院中の患者1,892人に「医師からの治療内容の説明は理解できましたか」と尋ねたところ、「はい」28.6%(542人)、「どちらかと言えばはい」52.6%(996人)と理解できたと回答した割合は81.3%だった。治療を中断した1,576人に同じ質問をしたところ、「はい」13.1%(206人)、「どちらかと言えばはい」44.9%(708人)と理解できたと回答した割合は58.0%だった。
◎ファイザー
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