武田薬品工業株式会社は8月27日、アメリカのジンファンデル社とともに、糖尿病治療薬「アクトス」(一般名:ピオグリタゾン)の低容量処方についてアルツハイマー病の発症抑制効果があるか検証する国際共同第3相臨床試験を始めたと発表した。
試験では、65~83歳の認知機能が正常な高齢者5,800人を対象に、アルツハイマー病の発症リスクを測るバイオマーカーを用いた評価手法を検証するとともに、発症リスクが高いと診断された高齢者において、低用量ピオグリタゾンの投与による同疾患の予防効果を評価する。
これまで、バイオマーカーであるアポリポタンパク質Eの遺伝子多型と年齢はアルツハイマー病の発症リスクを示唆する指標とされてきたが、これらにTOMM40という遺伝子を加えることで、発症リスクの予見精度を高めることができると考えられる。なお、410人に軽度の認知機能障害が確認されるまで調査し続けるため、試験期間を5年間と見込んでいる。
認知症患者の数は世界で3,560万人に達しており、アルツハイマー病の罹患率は世界的な人口高齢化に伴い増加している。これまでの試験成績から、軽度認知機能障害を持つ人については、アルツハイマー病あるいは他の認知症を発症するリスクが高まり、発症率は年間約15%であることが示唆されている。
同社は「今回の試験は、症状を示していない患者さんを対象に実施することから、画期的な取り組みです」と、意欲を示している。
◎武田薬品工業
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