健康日本21の推進組織である健康日本21推進フォーラムと、80年以上にわたって糖尿病治療薬の研究開発・販売を行っているサノフィの日本法人であるサノフィ株式会社は、2型糖尿病患者550人及びその家族450人を対象にインターネット調査を実施し、「糖尿病に関するQOL調査」としてまとめ、8月19日に公開した。
糖尿病は年々増加の一途をたどり、厚生労働省の調査によれば糖尿病患者数は推定890万人(平成19年国民健康・栄養調査)とされ、人工透析の原因となる糖尿病腎症などの合併症の増加が深刻な社会問題となっている。
一方、 2013年より第2次フェーズに入った「健康日本21」では、1)合併症の減少、2)治療継続者の割合の増加、3)血糖コントロール不良者の割合の減少、4)糖尿病有病者の割合の抑制、を目標にさまざまな活動をしている。
その内容を抜粋して紹介する。
■糖尿病治療の現状
糖尿病の治療薬には、インスリン分泌促進系、インスリン抵抗性改善系、食後高血糖改善系の経口血糖降下薬と、インスリン製剤とGLP-1受容体作動薬の注射薬がある。これまでは経口血糖降下薬による治療から始めて、複数の経口血糖降下薬を使用しても効果が減弱してきたらインスリン製剤等の注射薬が使用されてきた。 しかし、最近では、早期からインスリン製剤を使用して、血糖コントロールを良好に保つ方法も積極的に行われている。一方で、「インスリン注射は最後の手段」「一生打ち続けなければならなくなる」などというイメージから、医師に勧められてもインスリン投与に踏み切れない患者も多数いるのが現状だ。
■家族の5割前後がストレスと負担、合併症発症で「精神的負担」は71.1%に増大
2型糖尿病を発症した年齢は40歳代がボリュームゾーン。治療の中断経験率は25.5%で、中断したことを後悔する割合は59.3%。合併症の併発率は2割(20.0%)となっている。 糖尿病の治療は家族の負担が大きく、食事面を中心に88.9%が治療を支援しているが、43.6%がストレスを感じている。
金銭的な負担もさることながら、合併症を併発することによる精神的な負担(71.1%)はさらに大きなものとなり、家族の悩みや不安も深刻化し、家族間のコミュニケーションにも大きな影響をおよぼすことになりがちだ。
■インスリン投与により、血糖コントロールが改善し、QOLも上昇
インスリンを投与することで、投与患者本人はもちろん、家族の約9割がインスリンの良さを実感しており、「食事ストレスの軽減」(27.8%)に加え、「気持ちが前向きに明るくなる」(26.8%)、「家族仲がよくなる」(24.8%)、 「夫婦仲がよくなる」 (29.2%) など、投与患者が積極的に治療に向き合ってくれたことを、うれしく思っていることが明らかとなった。しかも、投与による家族の負担は「金銭的な負担はやや増えるものの、精神的変化はない」という声が主流で、「もっと早く開始すべきだった」と実感。さらに、用量調節を適切に行うことで、血糖コントロールの改善やQOLの向上に貢献することもわかってきた。
■インスリンの早期の投与や血糖コントロールに合わせた用量調節を
インスリン投与のメリットは未投与患者も認めているが、「なるべく先延ばししたい」(64.7%)「最後の手段にしたい」(48.0%)と、その一歩が踏み出せない状況が明らかに。家族からすれば、インスリン投与により「もっと良くなる」(54.0%)のに踏み出さないのは、「治療を先送りしている」(44.0%)だけ。「もっと積極的に治療に向き合うべき」(59.0%)で「今すぐ投与した方がよい」(55.0%)とインスリンの早期投与を望んでいる。
糖尿病患者にとっても家族にとっても大きな負担となる糖尿病。「元気で長生きするために」(91.5%)、「今以上にきちんと向き合って」(83.3%)、「前向きな気持ちで治療に取り組んで欲しい」(86.0%)と家族は願っている。
◎サノフィ株式会社
http://www.sanofi.co.jp/l/jp/ja/index.jsp