<認知症セミナールポ>体験者の声、医師との一問一答に学ぶ

ウェブサイト「健康と病いの語りデータベース」を運営するNPO法人ディベックス・ジャパンは、7月14日、シンポジウム「もっと知りたい認知症Q&A~体験者の声から学ぶ」を開催した。

「健康と病いの語りデータベース」は、病気と診断された人や家族が同様の経験をした人たちの「語り」に触れ、 病気と向き合う勇気や知恵を身につけるために作られたウェブサイトで、 映像や音声、文章で診断時の想いや治療法の選択などを知ることができる。
シンポジウムは、前立腺がん、乳がんに続き、認知症についての「語り」が7月に公開されたことを記念して開催された。

■家族介護者や当事者のさまざまな体験にリアルに触れる
まず、ディベックス・ジャパンの研究班代表で富山大学老年看護看護学講座教授の竹内登美子氏による、「健康と病いの語りデータベース」の紹介があった。

「健康と病いの語りデータベース」は、イギリス・オックスフォード大学で作られた患者体験のデータベース「DIPEx」をモデルにしたもので、患者や家族へのインタビューは専門のトレーニングを受けた調査官が担当。専門医や患者会などの助言を受け、情報の信頼性を確保した上で体験者の生の語りに触れられる。

このほど公開された「認知症の家族介護者と患者の語り」には、住む地域や年齢、認知症のタイプ、病期などが異なる42人の語りを収集。「認知症の診断と治療」「症状とどうつきあうか」などトピック別、語り手の立場別、認知症のタイプ別などに閲覧できるようになっている。
「イギリス版で、認知症の家族介護者が顔を出して率直に語る姿を見て、感銘を受けました。日本では2009年にプロジェクトを開始し、家族介護者だけではなく、認知症患者本人の語りにもチャレンジしています」(竹内氏)

■本人や介護者の言葉にケアのヒントを見出す
シンポジウムは、ウェブで公開されている「語り」を会場で上映し、それぞれの語りから浮かび上がった疑問を進行役のディベックス・ジャパンの佐藤(佐久間)りか氏が整理し、もの忘れクリニック「松本診療所」の医師・松本一生氏、看護師ケアマネジャーの櫻井記子氏、レビー小体型認知症の家族会を主宰し、インタビューに協力した加畑裕美子氏が応えるという形で進行した。印象的な語りを交えながら紹介する。

質問認知症かどうか、受診すべきかどうかどう判断すればいい?
「ある日急に自分が自分でないような感じになり、説明しようにもできなくて、非常に心細かった」(認知症患者の語り)

松本氏「本人が認知症に気づいているケースと気づかないケースがあり、私がこれまで診た2,800人くらいの7割は、本人が認知症に気づいている。ただ、一般的なデータによると本人が気づくのは約3割。家族は否定したい気持ちが強い傾向があるが、本人が気づいたら躊躇せずに医療機関へ連れていってほしい」

質問認知症のタイプの違いなど、正しい診断はどのようにつけられるのか?

松本氏「一口にアルツハイマーと言っても、脳のどの部分が変化したかで症状が違う。かかりつけ医から専門医を紹介してもらうが、診察の入口となるかかりつけ医は重要。信頼できない点があれば変えることも考えて」

質問徘徊や暴力など対応が困る認知症の症状は、どうケアすればいいのか。

櫻井氏「認知症を抱える人は心の中でいろいろ感じている。ケアの場で大事にしているのは、本人の立場で考えること。症状の出方や理由も100人いれば100通りで、そのヒントは本人の言葉の中にある」
加畑氏「介護は、気持ちひとつでラクになるのは事実。『認知症の家族介護者と患者の語り』で知る介護者の対応はヒントになる」

質問:訪問介護など支援を導入するタイミングや施設入所を考えるタイミングを知りたい。
「一人っ子で育ち、脳梗塞で倒れた父に替わり、19歳から家計を支えてきた。介護を担っていた母も倒れた時、ケアマネも『娘さんがいるなら』と、自分が介護をすることを前提に話が進み、介護離職をせざるを得なくなった。生活が苦しくなり、一家心中が頭をよぎったことも」(両親をひとりで介護した女性の語り)

櫻井氏「認知症の初期から介護サービスを使わないと、次第に生活を支えるのが困難になる。まずは地域包括支援センターに相談して」
松本氏「私自身も介護家族だったが、介護が必要な人ひとりを在宅で看るには2.5人、ふたりならその倍の人数が必要。ひとりで背負わず、社会資源を使うべき」

質問認知症の人が社会で生き続けていくために何ができるか。
「アルツハイマーであっても一人ひとり人格があって、生きていくことができることを理解してほしい」(認知症患者の語り)
「家族会で仕事をするようになってから、声が明るくなった」(若年性認知症患者の家族の語り)

加畑氏「患者が社会の中で生きる場所をつくることが大切。まずは認知症の正しい情報を得て、正しく理解すること」
松本氏「患者さんが社会的に居場所を作るためのサポートもするが、一方でそういうものを求めない人もいる。その人が何を望んでいるかキャッチすることが大事だと思う」

NPO法人健康と病いの語りディペックス・ジャパン

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