国立社会保障・人口問題研究所は、7月24日、「生活と支え合いに関する調査」の結果を発表した。
同調査は、生活困難の状況や、家族や地域の支え合いの実態を把握し、公的な支援が必要な人を明らかにすることを目的にしたもので、平成24(2012)年7月に実施した。
調査対象は「平成24年国民生活基礎調査」で設定された全国(福島県を除く)の調査地区から無作為に選ばれた世帯主および20歳以上の世帯員。有効回答票数は、世帯票11,000(有効回収率68.3%)、個人票21,173(有効回収率80.6%)だった。
■ひとり暮らしの高齢男性で社会的孤立を懸念
普段どれ位人とあいさつ程度の会話や世間話をするか(電話も含む)を聞いたところ、毎日誰かと会話する人の割合は60歳未満の各年齢層では男性93%程度、女性96%程度で、年齢による差はほとんどみられなかった。
一方で、60歳以上では年齢階級が高くなるほど毎日会話する人の割合が低下し、80歳以上男性では76.1%まで低下する。女性の場合は80歳以上で81.4%となっている。
20歳以上で、普段の会話の頻度(電話を含む)が「2週間に1回」以下となる人の割合は2.1%だった。しかし、ひとり暮らしの65歳以上の男性では16.7%で、高齢男性の社会的孤立が心配される。
65歳以上と65歳未満に分けて、所得階級別に会話頻度をみると、いずれの年齢でも所得が高いほど毎日誰かと会話する人の割合が高く、所得が低いほど割合が低くなった。会話人数でも所得が低いほど人数が少なくなった。
■看病や介護で支援を受けられるのは家族か親族
おおよそ7割から8割の人が、「看病や介護、子どもの世話」「健康、介護、育児に関する相談」「いざという時の少額のお金の援助」「災害時の手助け」について頼れる「家族・親族」がいると回答した。「看病や介護、子どもの世話」では回答者の88.5%が頼れる人として「家族・親族」をあげている。「家族・親族」に次いで、同割合が高くなるのは「友人・知人」だが、「家族・親族」に比べると大幅に低くなった。
その一方、「頼れる人がいない」という人も存在し、所得が低いほどその割合は高くなった。
「看病や介護、子どもの世話」に対して頼れる人がいる者の割合を会話頻度別にみたところ、普段の会話頻度が高い人ほど、頼れる「家族・親族」や「友人・知人」がいる者の割合が高くなる傾向にあった。一方で、普段の会話頻度が「2週間に1回」以下と回答した人では、「頼れる人はいない」と回答する人の割合が26.7%にまで達した。
自分が手助けを行う場合、「家族・親族」に対して手助けを行う人の割合は6割以上で、「看病や介護、子どもの世話」では回答者の87.7%が手助けを行うとしている。一方、「友人・知人」に対する「看病や介護、子どもの世話」では、手助けを行う人の割合は回答者の24.4%にとどまっている。
◎国立社会保障・人口問題研究所
http://www.ipss.go.jp/