<消費者白書>高齢者のトラブル頻発を報告――消費者庁

消費者庁は、6月「平成25年度版消費者白書」を公表した。

「消費者白書」は、消費者政策における重要課題を国民にわかりやすく解説することを目的としたもので、平成24年度版は、平成24年8月に改正された消費者基本法に基づく第1回目の法定白書。第1部の分析編では「高齢者の消費者トラブル」を特集しており、この問題が社会的な関心事になっていることがわかる。

白書では、近年高齢者の消費者トラブルが目立っている理由として、社会の高齢化と、高齢に伴う身体能力や判断力の低下で消費者トラブルに巻き込まれるリスクが増えることをあげながら、高齢者の消費者トラブルの実態について詳しく解説している。高齢者トラブルについての主な内容を紹介する。

高齢者を取りまく社会経済情勢
高齢者の消費者トラブルの直接的・間接的な原因として、お金、孤独、健康の3つの不安をもっていることを指摘。

・お金の不安――高齢者は貯蓄をもっていても、収入がない。
2012年の1世帯あたりの平均貯蓄額を世帯主の年齢階級別にみると、60歳代の2249万円をピークに減少。また、年間世帯年収は50歳代の816万円をピークに減少している。

・孤独――男性の単身高齢者は、困った時に頼れる人がいない
ひとり暮らしの男性の20%は、「困った時に頼れる人がいない」と回答。とりわけ大都市在住のひとり暮らしの男性にそう答える人の割合が強い。

・健康――消費行動で関心が高いのは健康
高齢者が「優先的にお金を使いたいもの」として、42.8%が健康維持や医療介護のための支出をあげており、消費行動においても健康に対する関心が高いことがわかる。

高齢者の消費者トラブルの実態
高齢者の相談件数は人口ののび以上に増加
全国の消費者相談センターに寄せられる高齢者の相談の総件数は、2012年度では2007年度に比べて20.4%減となっており、65歳未満の相談件数も33.2%減となっているが、65歳以上の相談件数は34.7%増加している。この間の65歳以上人口ののび率は12.1%なので、相談件数ののび率が上回っている。

・相談件数で多いのは化粧品と医療サービス
2012年度の高齢者の相談件数で、商品で多いのは化粧品、サービスで多いのは医療。また、高齢者特有の「介護ベッド用手すり」による死亡・重症事故は、この数年依然として発生しており、死亡事故の比率も高くなっている。

・電話勧誘に関するトラブルが増加
2003年と2012年を比較すると、高齢者の訪問販売による消費者トラブルは43.5%から19.0%に減少している。一方、電話勧誘によるトラブルは8.0%から19.5%に増加している。

・相談1件あたりの平均購入金額が増加
高齢者の1件あたりの平均契約購入金額を年度別にみると、2003年度の約106万円から2012年度は210万円と倍近くになっている。支払額の平均も同様の傾向で、高額化していることがしていることがわかる。

高齢者は、金融商品の消費者トラブルが多い
高齢者の消費者トラブルで、近年上位を占めているのが金融商品。2010年はデリバティブトラブル、2011年未公開株、社債、2012年はファンド型投資商品が目立つなど、商品に流行がみられるのが特徴だ。

高齢者を中心に二次被害が増加
二次被害とは、以前契約していた商品について「解約する」「損を取り戻す」など過去の被害の救済をよそおって勧誘され、金銭を支払わされること。この二次被害についての相談は、2011年から増加し、2012年度には約1万6000件となっており、そのうち高齢者からの相談は約8700件と半数以上を占めている。また、二次被害による支払額は高齢者で高額化が目立つ。

・健康食品の送り付け商法のトラブルが増加
健康食品の送り付け商法の高齢者の被害が急増している。2012年度は、総相談件数約1万4000件のうち高齢者からの相談は約8割を占め、前年比は約5.6倍になっている。

・「終活」に関するトラブルの増加を懸念
葬儀や墓などの準備を生前にしておく「終活」に関する消費者トラブルも、近年増加しているもののひとつ。葬式に関する相談件数は2012年度は約700件で、今後も増加することが懸念される。

高齢者の消費者トラブルへの対応
高齢者のトラブルはまわりの人からの相談が多い
30歳代~60歳代の消費者トラブルは、本人からの相談が9割を占めている。一方、70歳代では約7割、90歳代では約3割で、高齢者では本人以外からの相談が多いことがわかる。

高齢者のトラブルは、身近な人のサポートが必要
2012年度の「消費者意識基本調査」によると、この1年間で身近な高齢者が消費者トラブルで被害を受けたと回答したのは、全体の約2.2%。さらに、トラブルに誰が対応したかという質問では、本人と回答したのは3割にすきず、高齢者のトラブルでは、身近な人のサポートが必要なことがわかった。

・消費者センターの業務内容の周知や信頼度に課題
上記の調査によると、高齢者の消費者センターの認知度は約77%だったが、「信頼している」と回答したのは約13%。また、認知度の内容では、名前を知っている人は多くても、業務内容や自分が住んでいる地域の消費者センターの場所や連絡先を知っているのは約36%でしかなかった。

◎消費者庁
http://www.caa.go.jp/

◎平成25年度版消費者白書
http://www.caa.go.jp/adjustments/pdf/25hakusho_gaiyo.pdf

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