国民生活センターは、エスカレーター乗降時の高齢者の事故について、実際に届け出られた事例を報告し、安全対策を講じるようアドバイスを行っている。(7月11日公表)
高齢になると、歩行スピードが遅くなるだけでなく、白内障などで視力も落ちるため、エスカレーターのように「動いている乗り物」に、前方の流れに沿ってスムーズに乗降することが難しくなる。
特に平日の通勤時間帯など、周囲が急いでる状況のなかで、高齢者がエスカレーターを利用しようとする場合、後ろの人は、前を詰めてプレッシャーをかけたりすることのないよう、安全に乗降できるよう見守りたいものだ。
■事例1:エスカレーターに乗ろうとして踏み外し、後ろ向きに転倒して後頭部を打撲、3針縫った。(80歳代 女性)
■事例2:エスカレーターに乗った際、両手に荷物を持っていたため、バランスを崩して頭部を打撲した。(80歳代 女性)
■事例3:歩行に杖を使う必要がある。駅構内のエスカレーターで、後方から上がってきた人に杖に接触されてバランスを崩したため、転倒し救急搬送された。(50歳代 男性)
上記のように、エスカレーター利用中に、転倒などによりけがをしたという報告が寄せられていることから、同センターは、以下のような助言を行っている。
【アドバイス】
・高齢者は加齢に伴い平衡感覚等が衰え、バランスを崩しやすくなっています。エスカレーターに乗っているときは手すりにしっかりつかまりましょう。乗り降りの際は速度が急に変わるため、特に注意が必要です。
・両手に荷物を持ったり歩行補助車を押したりしている場合は、エレベーターを利用するとよいでしょう。
・エスカレーターの安全基準は、ステップ上に立ち止まって利用することを前提にしています。一般の利用者は、高齢者や障がい者なども利用していることを認識し、エスカレーターでの歩行を避けるなどの配慮をすることが大切です。
◎独立行政法人国民生活センター
http://www.kokusen.go.jp/ncac_index.html