トロミ調整食品などの高齢者・介護対応食品を製造・販売している日清オイリオグループ株式会社は、定期的に行っている在宅介護事情調査の第5弾として、在宅介護をしている家族100名を対象に「要介護者に見られる夏場の体調変化」について調査を行った。
その結果、夏を迎えると要介護者の7割以上に何らかの体調変化が現れ、4割以上が食欲不振に陥っている現状が明らかになった。食欲不振による食事量の低下は、様々な栄養素が不足し、低栄養を招く可能性がある。夏本番を迎えた今、在宅介護では食欲不振による低栄養に注意する必要がありそうだ。
■要介護者の7割以上が体調変化を訴える
「夏を迎えると、要介護者に何らかの体調変化が見られるか」という質問では、およそ7割以上が「体調変化がみられる」と回答。その内訳は、「ぼんやりとしていることが増えた」(27%)、「食欲が落ちた」(26%)、「便秘や下痢が増えた」(20%)、「体重が減った」(16%)などが上位を占めた。
■食欲不振に陥る要介護者が4割以上!
夏場に見られる食生活の変化の第1位は「食が進まず、食事量が減った」(43%)、次いで「歯ごたえのある食材を避けるようになった」(24%)、「食事が偏りがちになった」(23%)、「水分が多い食事(汁物含む)を好むようになった」(23%)と続き、食欲不振に陥るだけでなく、食事内容にも変化が見られた。
■介護家族の8割以上が、食べやすさに配慮
夏場の食事作りで工夫していることの第1位は「消化が良い料理を作る」(47%)、「のどごしの良い料理を作る」(47%)、次いで「こってりとした料理を避け、さっぱりとした料理にする」(25%)、「なるべく汁物が多い献立にする」(19%)と続き、食べやすさだけでなく、不足しがちな水分を考慮した食事作りを実践している現状が明らかになった。
■食欲不振に対する意識は低い
夏場の在宅介護で注意したいことについて、過去4年の調査結果を比較したところ、熱中症や水分補給などの暑さ対策に関する項目が毎年高い一方で、食欲不振を注意しているご家族は低い傾向にあることが分かった。
この調査結果を受け、独立行政法人国立健康・栄養研究所栄養教育研究部栄養ケア・マネジメント研究室室長の高田和子氏は、次のようにアドバイスしている。
「夏の暑さによるわずかな体温の上昇は、食欲の低下を招きます。また、軽い脱水症でも汗をかきにくくなり、体温の調節や消化液の分泌などが悪くなります。まずは、こまめな水分補給と室温の調整を行い、脱水症と食欲低下の予防をしましょう。
食欲の低下により様々な栄養素の摂取量が減少すると、体力や抵抗力が低下します。夏には、誰でも食事量が減りがちですが、要介護者はもともとの体力が低いので、食事量の減少による体調不良の影響が大きく、涼しくなってからでも回復が遅くなります。食事量が減少する時には、エネルギーやたんぱく質などが強化された食品を活用して栄養素を補い、低栄養を予防することも必要でしょう。また、体重は食事量や水分摂取量の過不足を評価するための大切な目安です。要介護者の健康管理のために、日頃から体重測定を行うことを心掛けてください。」
◎日清オイリオ
http://www.nisshin-oillio.com/