国民生活センターは、5月23日、高齢者を狙った健康食品の送りつけ商法が急増していると発表した。
それによると、「以前お申し込みいただいた健康食品を今から送ります」などと突然電話があり、申し込んだ覚えがないと断ったのに健康食品を強引に送りつけられるという相談が2012年度は14,000件を越え、2011年度の5.2倍に急増した(2013年5月20日現在)。
トラブルの中心は高齢者で、高圧的な業者に押し切られ、購入を承諾してしまう事例も多く見られるという。
また、2012年度は、トラブルに占める「強引・強迫」に関する相談の割合が大きくなっており、勧誘がより強引になっていること、商品を送りつけるのに代引配達が利用されている相談が増加していることが特徴。
同センターでは、被害の未然防止と拡大防止のため、消費者へ注意を呼びかけるとともに関係省庁へ対応を求めている。
■相談の概要――PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)調べ
・健康食品を強引に送りつけられたことでの相談は、2007年度から2012年度まで25,030 件寄せられており、2012年度は14,274件にのぼっている(2013年5月20日現在)。
・年齢:当事者で最も多い年代は70歳代で5,478件(40.2%)、ついで80歳代が4,820件(35.4%)、60歳代が2,225件(16.3%)となっている。平均年齢は74.3歳で、60歳以上が93.2%を占めている。
・性別:男性の相談が2,225件(15.7%)、女性の相談が11,905件(84.3%)で、女性の割合が大きい。
・都道府県別:多い順に兵庫県703件、静岡県662件、長野県599件、北海道594件、福岡県592件と続く。
・相談者と当事者の関係:相談者と当事者が同一の相談は67.3%(9,543件)、家族やヘルパーなど相談者と当事者が異なる相談は32.7%(4,646件)で、同期間の消費生活相談全体と比較すると、この件の相談では契約者と別の人から寄せられる相談の割合が高くなっている。
・契約・購入金額:最も多い価格帯が1万円以上5万円未満で、6,756件(71.4%)で、続いて1000円以上1万円未満が959件(10.1%)。平均額は約5万円となっている。
■主な相談事例
・勧誘を断ると「バカたれ、死んでしまえ」などと暴言を吐かれた。
・病気によいという健康食品を送ると電話があり、申し込んだ覚えがないので受け取り拒否をしたが再度送付された。
・複数の販売業者から健康食品が送りつけられている。
・健康食品といっしょに現金書留封筒が同封されてきた。
・商品を受け取り拒否すると、「弁護士協会」と名乗り、訴えると電話があった。
■問題点
・申し込んでもいないのに、強引に送ると言われ、断ると暴言を吐かれるケースもある。
・業者名などを告げず、契約書面も交付せずに勧誘している。
・クーリング・オフや返金の申し出に応じない。
・「糖尿病によい」「血圧が下がる」などあたかも病気が治るかのようなセールストークがなされている。
・トラブルにあう人の大半が高齢者で、判断能力不十分者契約も多数。
契約者の平均年齢は74.3歳で、なかには認知症の診断を受けていて、業者が言うように消費者が本当に注文したのかどうか事実確認が困難となっている例もある。ただし、申し込みをしたことの立証責任は販売業者側にある。また、申し込んでいないと言っても、販売業者は「ボケているんじゃないか」などというケースも見られ、高齢者の判断能力低下に乗じた勧誘がされている。
■消費者へのアドバイス
・申し込んだ覚えもなく、購入するつもりがなければきっぱり断る。
・商品が届いてしまった場合、断ったにもかかわらず一方的に送りつけられた場合、商品を受け取り拒否すること。また、電話で勧誘され承諾してしまった場合、クーリング・オフが可能。
・高齢者がトラブルにあっていないか周囲の人は注視する。
・困ったことがあれば、すぐに消費生活センターに相談する。
・事実でないことを言われて勧誘をされたり、勧誘時に脅されるなど恐怖を感じることがあれば、警察にも相談する。
◎国民生活センター
http://www.kokusen.go.jp/