認知症介護研究・研修センター仙台は、このほど、災害時に支援する人のための「避難所での認知症の人と家族支援ガイド(支援者用)」と一般用の「避難所での認知症の人と家族支援ガイド」、「避難所での認知症の人や高齢者の健康管理」を作成し、HP(「認知症介護情報ネットワーク」)で公開した。
東日本大震災では、認知症の人や介護する家族も避難生活を強いられ、地域の避難所では医療、保健福祉関係者が献身的なケアを行った。一方で、支援者からの報告によると、環境の急激な変化や、排泄、寒さ、食事などの問題、周囲の不理解などさまざまな要因から避難所にいることができなくなり、倒壊しかけた自宅に戻らざるを得ない状況になった人もいたという。
ガイドは、実際に支援にあたった514 事業所、機関の人たちの声をアンケートで聴き取り、震災直後に避難所で起きたことを整理し、地域の認知症の人や介護する家族が安心して避難できる環境をつくるための一助となることを目的に作成した。
■「避難所での認知症の人と家族支援ガイド(支援者用)」の構成
まず、高齢者を支援する立場の人が知っておきたい災害と避難所の基礎について、これまで日本で起こった災害を例に「第1章 災害と避難について考えておこう」として整理。
第2章では、避難所には認知症のがどのくらい存在したのか、そして認知症の人はどのような行動や症状が起こり、介護する家族はどのような状況で、避難所の理解はあったのかを整理している。
さらに、第3章では、認知症の人が避難所で生活が限界となる出来事と東日本大震災の実体験からの避難所生活の限界日数を明らかにした。
最後に、東日本大震災の被災3県(岩手・宮城・福島)に協力を求め、514 事業所・機関からの621 事例をもとに避難所での支援の実際についてまとめている。
■「避難所での認知症の人と家族支援ガイド(支援者用)」の活用方法
東日本大震災では、認知症サポーターの活躍の報告もあった。今後の備えとして以下のような活用方法がすすめられるという。
・認知症サポーター養成講座での研修資料として
・認知症になっても安心して暮らせる地域づくりの研修資料として
・地域包括支援センターや介護保険事業所の職場内研修
・防災教育などの研修担当者の資料として
また、同様の内容を平易な表現で簡潔にまとめた「避難所での認知症の人と家族支援ガイド」は、一般市民向けの防災教育や認知症サポーター養成講座、災害時に避難所で配布するなどの使用がすすめられる。
認知症の人や高齢者の食事や水分摂取、運動などについてまとめた「避難所での認知症の人や高齢者の健康管理」もあわせて活用したい。
◎認知症介護情報ネットワーク
http://www.dcnet.gr.jp/
◎避難所での認知症の人と家族支援ガイド(支援者用)
http://www.dcnet.gr.jp/cms/contents/data/39/201/DETAIL_PDF_1.pdf
◎避難所での認知症の人と家族支援ガイド
http://www.dcnet.gr.jp/cms/contents/data/39/200/DETAIL_PDF_1.pdf
◎避難所での認知症の人や高齢者の健康管理
http://www.dcnet.gr.jp/cms/contents/data/39/199/DETAIL_PDF_1.pdf
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