国民生活センターは、「シェールガス」や「メタンハイドレート」といった新エネルギーの生産、開発に関する事業への投資を装った詐欺的なもうけ話に関する相談が増えているとして、注意を呼びかけている。
未公開株や怪しい社債のほか、社会で話題になった事業への投資など、消費者への勧誘手口がますます巧妙になっている。震災後に太陽光発電事業などをうたった「買え買え詐欺」がみられたが、最近は、「シェールガス」や「メタンハイドレート」といった新たなエネルギー資源に関する事業をうたった買え買え詐欺の相談が寄せられている。同センターのまとめでは、こうした相談は2012年10月から急増し、今年4月までに寄せられた件数は計307件にもなる。
手口は、高額な配当や報酬をうたった、もっともらしいパンフレットを送りつけた後、複数の業者が事業の有望性を訴えながら、電話で勧誘するというもの。いったん金を払うと、いずれの業者とも連絡がつかなくなり、配当や報酬も見込めないという。
特に年配者をねらった被害が多いため、本人はもちろん、家族も見守る必要がある。
主な相談事例は以下のとおり。
【事例1】シェールガスの施設運用権で高配当をうたう業者
母宛にA社から封筒が届いた。シェールガスを掘っている会社の案内書で、1 口120 万円で1 年後の償還時に6~8%の分配金が上乗せされるという施設運用権の説明があった。その後B社から電話があり、「運用権を買いたいがダイレクトメールが届いた人しか買えないので名義を貸してほしい。後で法人名義に変更してC社に倍の価格で買い取ってもらえる。後日謝礼をする」と言われたので了承した。その後B社から電話があり、「当社が半額負担するのであと10 口買ってほしい。500 万円を宅配便でA社に送金してほしい」と言われた。その後もB社から名義変更手数料等の名目で請求されて、A社に送った。母から話を聞いて詐欺だと指摘したが母は謝礼の話を信じている。返金してほしい。(2012年11月受付 契約当事者:60 歳代 女性)
【事例2】メタンハイドレートで景気が回復すると言ってファンドを勧誘する業者
A社から電話があり「海外リゾート等で成功していてメタンハイドレートの採掘に携わっているB社のファンドに関する資料が届いていないか。新しいエネルギーであるメタンハイドレートの活用により必ず景気は回復する。B社のファンドを欲しがっている人がいるが地域指定があり購入することができないので名前を貸して欲しい。お金は欲しがっている人が払うので用意する必要はない。8,000万円の申し込みをすれば、報酬として1,600万円と過去の投資詐欺での被害額分を払う」と言われ、B社にファンドの申し込みをし、契約を交わした。その後、B社より「ファンドを1 億円欲しがっている人がいて、会社が契約に動いている。なんとか4,000万円を支払って欲しい」と連絡があったが、「支払えない」と伝えたところ、A社からも何度も電話があり、「やめると家族が大変なことになる」と電話で脅された。やめたい。(2012年12月受付 契約当事者:50 歳代 女性)
こうした相談について、国民生活センターでは、以下のようなアドバイスしている。
1.「権利を高値で買い取る」などと持ちかけてくる勧誘の電話には、「興味ありません」「お断りします」と言って電話を切る。
2.業者の話をうのみにせず、お金を払う前に周囲の人や消費生活センターに相談すること。
同センター相談情報部は、「パンフレットが届いた後に、別会社から電話がかかってきたら、詐欺を疑い、すぐに電話を切って」とアドバイスしている。
◎国民生活センター
http://www.kokusen.go.jp/