<どう死にたいか>延命処置を望まない人が7割以上!――人生最期の医療に関する調査

NPO法人高齢社会をよくする女性の会(理事長・樋口恵子氏)が、10歳代から90歳代までの男女を対象に行った「人生最期の医療に関する調査」(回答数4,744)のまとめを発表。延命を望まない人が7割を超えた。

■医師も約9割が「心肺蘇生は望まない」
回答者の男女比はおよそ3:7、年齢層は60歳代が約23%と最も多く、20歳代以下と80歳以上は10%に満たなかったが、それ以外は大きな偏りはなかった。職業は、医療介護関連職、無職、その他がほぼ1/3ずつ。看取り経験のある人が約6割を占めていた。

まず、終末期に意思表示ができなくなったとき、心肺蘇生や延命のための栄養補給を望むかという質問。これに対しては、全体としては「望まない」という回答が多く、7~8割を占めていた。中でも、看護職は心肺蘇生、人工呼吸器、胃ろう、経鼻経管栄養のいずれも「望まない」が9割近かった。看護職は、こうした処置を受けている患者を日常的に看護する立場にある。処置のメリットもデメリットもよく知っているはずである。その看護職の多くが、「自分自身にはしてほしくない」と答えていることは、非常に興味深い。

さらにいえば、心肺蘇生については、医師もその約9割が「望まない」と回答している。患者に心肺蘇生を施す立場にある医師が、「自分にはしてほしくない」と答える不思議。誰のために、なぜ心肺蘇生をしているのか。心肺蘇生が本当に必要なのはどんなときなのか。患者も医師も、今一度考えるべきではないだろうか。

■延命は不要だが痛みは取ってほしい
年齢別や男女別で見ると、40歳未満はそれ以外の年齢層に比べて、また、男性は女性に比べて、これらの処置を「望む」という回答がやや多い。また、看取り経験の有無で見ると、経験のない人はある人に比べるとこれらの処置を「望む」という回答がやや多かった。看取り経験がある人は女性に多く、年齢が高くなるほど看取り経験がある人が増えていることから、こうした処置を望むかどうかは看取り経験と関係があるとも考えられる。つまり、終末期を具体的にイメージしやすい人に、こうした処置をしてほしくないと感じている人が多いとも言えそうである。

一方で、状態が悪くなったときに鎮静剤の使用を望むかどうかについては、全体としては約7割が「望む」との回答。また、医師・看護師の約9割が「望む」と答え、看取り経験者のほうが看取り未経験の人より「望む」という答えが多かった。これは強い鎮痛剤の使用は意識レベルの低下を招くことがあると付記した上での質問に対する回答である。延命のための医療処置は望まないが、たとえ意識レベルが低下しても痛みは取ってほしい。終末期の現実を知っている人たちは、特にそう考えているようだ。

■家族に意思表明済みは3割弱
とはいうものの、このような自分の望む人生最期の医療について家族に伝えている人は約30%にすぎず、書面にしてある人はわずか6%にも満たない。これから家族と話し合いたい、これから書面にしたいという人が多数派だ。すでに伝えている人、これから書面にしたい人は医療職に多く、看取り経験者にも多かった。

調査結果全体から見ると、「人生の最期」に対して現実感がある人ほど、どのような医療を受けるかについて具体的にイメージして判断し、それを家族などに伝え、実現していこうという意欲があるように思われた。人生の終わりには、一般的には年齢が高くなるほど近づいていくものではあるが、若い人に突然訪れることもある。いつ訪れるかわからない「そのとき」のために、人生の最期をどのように迎えたいのか、一度ゆっくり考えてみることも必要ではないだろうか。

なお、調査概要は下記の通り。

■調査目的:かけがえのない命の主人公である私たちは、「お任せ」でなく自分の最期と真剣に向き合いたい。そこで、市民・当事者(医師・看護職・介護関連職含む)は、人生最期の医療のあり方についてどのように捉えているかを調査し、医療介護のあり方を探ろうとした。

■調査対象:全国の10歳代~90歳代の男女4,744人(女性3,485人、男性1,259人)

■調査時期:2012年12月~2013年2月

■調査方法:郵送による配布・回収、FAX回収、E-mail回収、インターネット(ホームページ上のアンケートフォームに入力)

■調査内容:
1.あなたが意思表示できない状態になり、さらに治る見込みがなく、全身の状態が極めて悪化した場合、鎮痛剤を使ってほしいか。心肺蘇生等をしてほしいか。
2.あなたが意思表示できない状態になり、さらに治る見込みがなく、食べられなくなった場合、延命のための栄養補給を望むか。
3.最期の医療について望むことを家族か信頼できる人と話し合ったことはあるか。
4.あなたが望む最期の医療について書面にしているか。
5.家族を看取った経験はあるか。

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