東京都は11月16日、第15回東京の福祉保健を考えるセミナー「もっと知ろう!福祉サービス第三者評価、調べてみよう!それぞれのサービス」を開催した。
前半は、「福祉サービス第三者評価制度の概要と評価結果の公表について」と題し、都を代表して指導監査部の村田由佳課長が講演。村田氏は、介護事業所約1万4,000カ所のうち、平成20年度に第三者評価を受けたものは1,817件で受審率
は13.1%であったことを報告した。第三者評価を受けたサービス種別では施設系が比較的高く、在宅系は比較的低いことを明らかにした。
そのほか、東京都福祉保健財団が運営しているインターネットの「とうきょう福祉ナビゲーション」を使用して評価結果を検索できることを参加者に紹介した。
後半は、「福祉サービス第三者評価の活用〜それぞれの立場から〜」と題したパネルディスカッションが行われた。
【パネリスト プロフィール】
●北川和秀氏:高齢者介護総合センター サンメール尚和 施設長
●齋藤貴也氏:世田谷区立きたざわ苑 施設サービスグループグループマネージャー
●青木正人氏:株式会社ウエルビー代表取締役
●西本裕子氏:特定非営利活動法人東京都介護支援専門員研究協議会理事長、社会福祉法人慈生会 慈生会中野ケアプランセンター管理者
施設事業者の北川氏、齋藤氏がそれぞれ評価結果を示すと、青木氏は評価者として、「事業者が目指しているものには、きちんとした理念があり、それがイメージされているかという視点が重要」と説明。サンメール尚和では仕事を通じた職員の自己実現ができており、きたざわ苑では1人1人が理念を共有していると評価した。
その上で、「サービスはものではないため特徴がある。サービスを良くするためにはサービスだけを変えるのではなく、見えないところ(職員の質の向上、マニュアルや研修会の有無など)を良くしなければならない。つまり、組織マネジメントを変えないとサービスは向上しない」と述べた。
次に、西本氏は介護支援専門員の視点から利用者から良い評価を得るには、「当然サービスの細かいところもよくしなければならないが、事業者のトップがどう考えているかが大事。ケアマネジャーが客観的になれないときにトップが考えを述べてくれれば、誇りを持って仕事ができる」と意見を述べた。
質疑応答では、第三者評価の受審率が約13.1%と低いことから、「利用者の立場から言えば、良い評価を受けている事業所を探すのは困難」とした上で、「受審率をあげるための対策はないのか」「受審を義務化しないのか」といった声が上がった。これに対し村田氏は、3年に1度受審してもらうしくみになっていることや、評価方法を簡略化して受審しやすくするサービスを始めたことを説明した。