<レビー小体型認知症>幻視の症状に困惑する家族――フォーラムレポ

4月、東京都内で「レビー小体型認知症フォーラム2013 知ってほしい、レビーのことを。助けてほしい、レビーの人たちを。」が行われた。

アルツハイマー型認知症についで多く、「第2の認知症」ともいわれるレビー小体型認知症だが、一般市民はもとより、介護職、医療関係者の間でも十分に周知されているとは言い難い。
フォーラムでは、レビー小体型認知症患者の家族3人が自らの体験を語り、この病気と患者についての「最前線からの報告」とも言えるものとなった。

まず、レビー小体型認知症研究会事務局長の尾崎純郎氏が病気について解説した。それによると、そこにないものがあるように見える幻視をはじめ、パーキンソン症状、レム睡眠障害など多彩な症状がこの病気の特徴だが、「すべての症状が出るとは限らない」。レビー小体型認知症の特徴は共通していても、症状の現れ方や状態はひとりひとり異なる。そのことは、家族の報告からも明らかになった。

■虫が見える、人が見える。その人それぞれの幻視。その時家族は…
夫が60歳でレビー小体型認知症を発症し、若年性レビー小体型認知症の家族のための会を主宰する金子さんの場合、本人も家族ももっとも苦しんだのは幻視の症状だった。

パンくずが虫に見える、シーツのしわがヘビに見える…幻視を家族がどう受け止め、支えるか。金子さんの場合、否定も肯定もせず、一緒に確認して対処することがもっとも有効だったとのこと。また、妻が侵入者に見える幻視に襲われた夫に突き飛ばされるなどの行為には苦しめられ、後に自分の行為を知った本人もとても苦しんだという。

一方、レビー小体型認知症の義父を介護して7年という和田さんは、「うちはお気楽に介護しています」。義父の写真のスライドを示しながら「現在は要介護5ですが、明るく生活できていることを見てほしい」と語った。

義父の症状は幻視が多いが、そこにいないはずの人や花が見えるというもので、本人はとくにこわがる様子はなく、自分にしか見えないことも理解していたそう。「それでも、私が幻視に対してアプローチし、『そのうち消えていくよ』と言うと安心していました。いっしょに笑ったり怒ったり。ただ、それは自分が幻視の対象にならないで攻撃されたりしなかったからだと思います」。

デイサービスで、病院で。家族は伝え続けることが大事
フォーラムの後半では、「レビー小体型認知症介護家族おしゃべり会」代表の加畑さんも加わり、外見の変化や症状、医療機関や介護サービスでの体験について語った。

・姿勢や歩行の特徴について
加畑さん:この病気は、肩が下がる、手が前に出るなど立ち姿に特徴があり、幻視のせいか空中に手を差し出したりすることもよくみられます。

金子さんレビー小体型認知症と診断される前から姿勢が前屈みになっていました。ちょっとしたことでバランスを崩し、頭から転倒したことも。でも、その頃病院で診察を受けてもこの病気に気づいてもらえませんでした。

医療機関の探し方
加畑さん:会を結成した当初、家族の声には「レビーの症状をどうにかしてほしい」というものが多かった。でも、がんのように症状をとる方法はないんです。医師も精神科と神経内科で考え方が違うので、家族は振り回されることになります。認知症専門医がいても「レビーはわかりません」と言われることもありました。

金子さん:うちは大学病院で診断されましたが、最初の先生には「治る薬も治療法もありません」と言われました。今の信頼できる主治医の先生は、インターネットで調べまくって見つけました。診療者でも全然違うんです。

介護サービスについて
加畑さんレビー小体型認知症の人はたいていが在宅介護です。この病気は暴力的で言葉が通じないと思われがちで、幻視があるとデイサービスやショートで断られることもあります。

和田さん:うちは症状が安定しているので、受け入れ先は苦労しなかったのですが、暴力行為があったと書かれたことが。聞いてみると、何かのきっかけで怒りを現し、職員に「どうしました?」と囲まれて、不安から興奮状態になったことを暴力とされたんですね。そこで「こういう風にすると興奮しやすい」と伝え、対処してもらえるようになりました。今もショートなどを活用できています。

金子さんデイサービスの見学に行った時、すぐに参加させてもらえたのはうれしかったです。病院では、虫の幻視を見て声をあげ、「寄声を出す人」と言われたことも。体温測定などで体に触る時は刺激しないよう、「声をかけてからにしてください」と頼み、私自身がそれを実践してみせることで理解してもらえました。家族は言い続けること、粘ることが大切です。

加畑さん:多くのレビーの人は穏やかです。最近うれしかったのは、施設の職員の人達がレビーの人を理解するようになってきたことです、「レビーの人も話がわかるんですね」と。家族からしてみると当たり前のことなんですが。

フォーラムの最後に聴衆に質問を募ると、服薬について悩んでいる家族からの質問があった。登壇者は一様に「医療者ではないので…」と前置きしながら、自分の家族のケースについて語った。薬への感受性が強いと言われるレビー小体型認知症だが、すべての医師が精通しているとは言えない状況が患者も家族も苦しめていることを痛感させられた。

医療現場の進歩を願うとともに、家族同士のネットワークの大切さ、それを支えるケアの大切さを考えさせられたフォーラムだった。

レビー小体型認知症研究会
http://www.d-lewy.com/index.html

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