公益社団法人日本認知症グループホーム協会は、平成24年度老人保健健康増進等事業による研究報告書「認知症グループホームにおける利用者の重度化の実態に関する調査研究報告書」をまとめ、3月に発表した。
この研究事業は、認知症グループホームにおける利用者の重度化について概念整理をしたうえで基礎的データを多角的に収集し、クロス集計などの分析により、その実態について明らかにするとともに、そこから導き出される特徴的な事例について事例調査を行い、その内実についてより深めていくことを目的として実施した。
調査では、認知症グループホームにおける利用者の重度化の実態、及び重度化に対応する事業所側の運営の影響について、アンケートや事例から調査した。アンケート調査からは、多くの事業所において利用者の重度化が進んでいる傾向がみられ、重度化が進む利用者のニーズを踏まえ、多くの事業所が医療処置や看取り等にも対応できるよう人員体制の整備等に努めている傾向が明らかとなった。
また、事例調査からは、全国各地の事業所で、様々なタイプの重度な利用者に対し、その人に合ったケアが献身的に取り組まれていることも明らかとなった。
利用者の重度化の傾向としては、1)老化にともなう心身の虚弱化、2)認知症の中核及び周辺症状の進行、3)医療ニーズの高まり、等によって重度化が進行し、最終的にはターミナル期の対応が求められている。
一方、これら重度化の諸要因は、並行して展開されることも多く、特に支援課題がどの側面に因っているのか等、対応のポイントが異なり、具体的かつ適切な対応方法は多様であることが明らかになった。
公開された研究結果は、重度型、医療ニーズ型、看取り介護型と分類された58ページから成る13件の事例や、詳細な調査票も公開されている。
◎公益社団法人日本認知症グループホーム協会
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