東北大学災害科学国際研究所は、今年1月に「『生きる力』市民運動化プロジェクト」を立ち上げ、「みんなの防災手帳」を制作したと発表した。
この手帳は、東日本大震災をはじめとするさまざまな自然災害において、被災者の生の声をもとに研究した成果を活かしながら、迅速な復旧・復興活動につながるように作成されている。内容は7章仕立てで、序章から5章までは発災直後からの行動体制など、「被災時間軸」に合わせた防災減殺対策情報が盛り込まれ、最後の章には各自治体のオリジナルの地域情報が組み入れられるようになっている。また、いざというときに役立つ家族のルールや情報が書き込めるページもある。
今回の大震災で188名の命が奪われ、1万1,000棟の家屋、工場地帯の工場群が壊滅的な被害を受けた宮城県多賀城市は、全国に先駆けてこの手帳を導入し、市内全世帯2万5,000世帯に今秋に配布する予定だという。同研究所は、防災減殺対策のひとつとして、導入の検討を全国の各自治体に呼びかけている。また、自治体のほか、企業・団体の構成員に配布するような想定もしているという。
【概要】
タイトル:みんなの防災手帳~○○版~(○には自治体名が入る)
体裁:A6サイズ、4色、汎用部分120ページに加え、各自治体オリジナル部分
構成:序章 我が家の防災手帳 ~みんなで話し合って書き留めておこう~
1章 発災前 生きるための備え ~災害を知り、災害に備えよう~
2章 発災~10時間 命を守るために ~もしもの時の行動マニュアル~
3章 10~100時間 生きのびるために ~被災生活はここから始まる~
4章 100~1000時間 行きぬくために ~被災生活をおくる智恵~
5章 1000~10000時間 よりよく生きるために ~生活を再建しよう~
6章 各自治体情報
特徴 ・いま必要な情報が引き出せるように、発災時から復旧・復興までを「被災時間軸」で編集。
・被災時に瞬時に次の行動を選択できるように、文章は簡潔に「140文字」以内を目安とする。
・被災時の具体的な行動指針を提示するために「動詞」で語りかける。
・被災者同士の共感と実践的教訓を伝えるために、東日本大震災の被災者の「生声」を採用。
◎東北大学災害科学国際研究所
http://irides.tohoku.ac.jp/