東京都は、布団の洗浄、メンテナンスなどを行う訪問販売事業者に対して、3月25日、特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法」という。)第8条に基づき、9ヶ月間業務の一部を停止すべきことを命じた。
当該事業者は、販売目的を隠したまま、独居の高齢者宅に上がりこみ、消費者の了解を得ることなく、勝手に乾燥剤等の商品を開封してしまうといった強引な方法で契約を結ばせていた。なお、今回の処分は、埼玉県と連携し、同時に実施した。
当該事業者の代表者は、平成24年3月に、神奈川県と静岡県が合同で業務停止命令を行なった「ふたば」に在籍していた。「ふたば」は、本件と同様の勧誘方法を行なっていた寝具用品の訪問販売事業者。
【事業者の概要】
■事業者名:総合サービスセンターこと木村烈(法人登記なし)
■代表者名:木村烈(きむらあきら)
■本店住所:神奈川県相模原市中央区淵野辺本町1-2-1
■設立:平成24年3月26日
■業務内容:布団の乾燥剤等の寝具用品の販売(訪問販売)
■売上高:事業者から資料提出がなかったため、不明
■従業員数:5名(代表者含む)
■勧誘行為等の特徴:
1)「布団のメンテナンス」や「洗浄」など、布団の乾燥剤等寝具用品の販売目的であることを明らかにしないまま、一人暮らしの高齢の消費者に訪問の約束を取り付ける。
2)訪問した消費者宅で、布団を触ったり、掃除をしたりした後、「乾燥剤が必要」等と言い始める。消費者が、「必要ない」「帰ってくれ」と言っても聞き入れず、勝手に商品を開封して布団にセットし、そのまま押入れにしまいこむなど、強引な方法で契約を了承させる。
■業務の一部停止命令の内容
平成25年3月26日(命令の翌日)から平成25年12月25日までの間(9ヶ月)、特定商取引法第2条第1項に規定する訪問販売に係る次の行為を停止すること。
■業務の一部停止命令等の対象となる主な不適正な取引行為
1)勧誘に先立って布団の洗浄やメンテナンスが目的であると告げたり、「自分たちは販売じゃないんです。」と告げるなど、布団乾燥剤等寝具用品の売買契約(以下「本件契約」という。)の締結について勧誘をする目的である旨を明らかにしていない事実があった。(法第3条 勧誘目的等不明示)
2)本件契約の締結について勧誘するに際し、事業者の訪問を「売りつけるから嫌だ。」と断わるなど、契約しない旨の意思を表示した消費者に対し、なおも勧誘を続けていた事実があった。(法第3条の2 再勧誘の禁止)
3)本件売買契約の締結に際して消費者に交付する書面に、契約の申込みの撤回又は契約の解除があった場合には、既に当該売買契約に基づき渡された商品が使用されたときにおいても、申込者等に対し、当該商品の使用により得られた利益に相当する金銭の支払いを請求することができない旨の記載をしていなかった。(法第5条 書面不備)
本件契約の締結について勧誘するに際して、消費者が断っているにも関わらず室内に上がりこみ、消費者の同意を得ることなく商品を開封するなど、迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘をしていた事実があった。(法第7条第4号 省令第7条第1号 迷惑勧誘)
■今後の対応:業務停止命令に違反した場合は、行為者に対して特定商取引法第70条の2の規定に基づき2年以下の懲役又は300万円以下の罰金又はこれを併科する手続きを、法人に対しては特定商取引法第74条の規定に基づき3億円以下の罰金を科する手続きを行う。
■消費者へのアドバイス:
実家の押入れの布団の間に、不審な商品が隠されていませんか!一人暮らしの高齢者が、強引な「押し売り」商法に立ち向かうことは困難。また、「子供にばれたら契約したことを怒られる」と、家族への相談をためらう人も少なくない。このような場合、家族や地域の身近な知り合いなどが、見慣れない品物や不明な契約書を発見することが、トラブルの早期解決につながる。実家に帰ったら、押入れの中の布団の間に、不審な商品が隠すように置いていないか、気を配ることも必要となる。
家庭や地域の絆で、高齢者が安心して暮らせるように見守ることが最善の防止策。同様なトラブルを発見したら、最寄りの消費生活センターにすぐに連絡ことをおすすめする。
◎東京都
http://www.metro.tokyo.jp/index.htm