「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」サービスについて、すでに参入している事業者と、未参入の事業者では、サービスの内容、対象者のイメージに大きなギャップがあるということが、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社が行ったアンケート調査で明らかになった。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービスは、2012年4月の介護報酬改定で新たに導入されたメニューだ。在宅生活を支えるという点で、地域包括ケアの中核的サービスと位置づけられている一方で、導入から半年段階における参入事業者数はおよそ70事業所であり、さらなる参入事業者の拡大が望まれる一方で、まだ「様子見」をしている事業所も多いと言われている。
■夜間、深夜の対応が中心は本当?
未参入事業者の7割以上が「軽度の利用者には不向き」と考えている一方で、実際に参入している事業者ではそう考えているのは3割を下回る。
同様に、「夜間、深夜のニーズがない人には不向き」、「訪問看護の利用ニーズがない人には不向き」、「認知症の症状がある人には不向き」と考えている割合も、未参入事業者で顕著に高かった。
また、サービスの内容についてもギャップが見られ、未参入事業者では7割弱が「夜間、深夜の対応が中心」と考えているのに対し、参入事業者では1割にも満たず、「利用者からのコール対応が中心」、「訪問担当が変わることで利用者とのコミュニケーションが取りにくい」、「訪問時間が短くなることで利用者とのコミュニケーションが取りにくい」、「訪問時間が短くなることで利用者の生活実態が把握しにくい」と考えている割合も、未参入事業者において高かった。
■夜間・深夜体制、緊急対応がハードルになる?
未参入事業者の95%以上が「夜間、深夜の訪問体制構築」を参入障壁と回答している一方、参入事業者では、そう回答したのは46.5%と低かった。
「随時対応を行う職員体制構築」も、未参入事業者において参入障壁であると回答下割合が高かった項目だ。未参入事業者では95.7%が参入障壁と感じている一方、参入事業者では53.5%だった。
また「随時対応の発生頻度の予測」も、未参入事業者の79.5%が参入障壁と回答しているが、参入事業者では25.9%と少ない。
未参入事業者が「障壁」と感じていることは、実際にサービスを提供している事業者にとっては必ずしも障壁にはなっていないようだ。
調査は、2012年10月から11月に行われ、定期巡回・随時対応サービスに参入している事業者70事業者、未参入事業者(訪問介護、夜間対応型訪問介護事業者)15,952事業所に調査票を送付し、前者39件、後者4,523件から回答を得た。
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