漢方薬を中心に販売を手がけるクラシエ薬品は、全国の20~60代の男女560人を対象に「漢方薬」に関する意識調査を2012年12月に実施し、結果を発表した。
調査結果によると、漢方薬を飲んだことのある割合は75.0%と、7年前に行った自社調査と比べて2倍以上に増加。飲み始めたきっかけとしては、「医師から処方された」が35.0%と最も多く、続く「自分で調べて服用した」が30.0%と約3人に1人が漢方薬に興味を持っていることが分かった。年代別には大きな差がなく、若い人も意外に漢方薬に興味を持っていた。
漢方薬に関するイメージは、上位をプラスイメージの「体にやさしそう」60.0%、「副作用がなさそう」52.3%、「体質から改善できそう」37.1%が占め、「長い期間、服用しなければならない」30.4%、「即効性がなさそう」30.2%、「苦い、臭そう」28.4%といったマイナスイメージは下位となった。これは7年前の自社調査とは全く反対の結果で、「苦い、臭そう」がトップを占め、「体にやさしそう」「副作用がなさそう」は下位だった。
体調についての質問では、病院に行くほどではないほどの不調を感じている割合が、「ある」「時々ある」をあわせて半数以上。「疲れやすい、だるい」が最多で55.6%、「肩こり、腰痛」が49.8%、「ストレス、不安」37.3%と、多くの人が悩んでいる症状が並んだ。不調の原因については、「ストレスが」が最も多く65.3%、「生活習慣の乱れ」が60.0%。年代別でははっきりと特徴が表れ、20代の8割が「ストレス」をあげたのに対して、50歳以上は「加齢」を一番にあげていた。
漢方薬を服用した症状は「かぜ」がトップで42.4%、次いで「胃腸などの胃腸関連」が26.9%、「花粉症、アレルギー症状」が14.8%という結果だった。漢方薬で知っている名前は「葛根湯」が92.3%と圧倒的で、こむらがえりや筋肉の痙攣などに用いられる「芍薬肝臓糖」が7年前の調査より16ポイントアップして知名度を上げていた。
今回の結果から見て、以前より漢方薬がマスコミでも比較的取り上げられるようになったことで「体にやさしい」といったプラスイメージを持つ人が増え、漢方薬を処方してくれる病院も多くなったことで漢方薬を飲む人が増えたと言えそうだ。元々高齢者の中には処方薬とは別に民間療法で漢方薬を飲んでいる人も結構いると推測されるが、そういう人も含まれることになる。また、自分で煎じて漢方薬を飲むのは手間がかかると敬遠していた人も、処方してもらえたり、漢方薬入りの市販薬が出回ることで需要が増えたとも予想される。
今回の調査の自由意見の中には、「西洋薬でカバーできないところを漢方薬に頼るという方法で使ってみたい」「少し体調の悪い程度の風邪では薬を飲むのをためらうが、漢方薬ならあまり抵抗なく飲むことができる」「授乳中でも服用できる」「最近はかなり飲みやすくなった」などのよさをあげている。
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