<家庭内事故死>全国で推定1万7,000人が入浴中に死亡――東京都健康長寿医療センター調査

東京都健康長寿医療センターは、12月、2011年の1年間に約1万7000人が入浴中に死亡しているという推計値を発表した。

わが国では、入浴中に心肺停止状態(CPA)、ないし死亡する人が欧米諸国に比べてたいへん多く、その大半が高齢者であるとされる。2000年に東京消防庁が行った調査では、全国で年間1万4,000人が死亡していると推計された。
その後、対策、予防法などについて報道が行われてきたが、死亡の実態は明らかでなかった。今回、同センターは、東日本の消防本部の協力を得て調査を行った。

今回の調査で回答を得た23道都県の362消防本部のデータを集計したところ、調査対象期間である2011年1月~12月までの1年間に、4,252人の高齢者が入浴中に死亡(CPA:心配停止状態)していることが分かった。年齢分布では80歳以上の後期高齢者が過半数を占めていること、大半が冬期に発生することも明らかとなった。

回答対象地域の高齢者人口は1,260万人(全国の42.5%)、全国の高齢者人口は2,960万人であることから、それぞれの年齢分布を考慮して全国の推計値を出すと9,999人となり、2011年に全国でおよそ1万人の高齢者が浴室でCPA状態になっていることがわかった。

厚生労働省が出している2009年度の「家庭内での溺死」3,964人の年齢分布をみると、全体の87.6%が高齢者であったので、全年齢層では11,414人(9999/0.876)のかたが浴室でCPA状態になっていると推計される。

ここで、入浴中の急死者数の推計にあたって大きな影響を与えるのは、救急隊によって搬送されない「不搬送」事例の数である。救急隊が現場到着時に明らかに死亡していると認めた場合、その多くは不搬送(医療機関に搬送しない、いわゆる「社会死」)となる。CPA事例とは異なり、多くの消防本部はこの不搬送事例の詳細な情報をもっていないため、その実態を正確に把握することは極めて困難であるが、解答を得た消防本部のうち、36消防本部の回答には搬送事例と不搬送事例の両者について記載があった。

その内訳は、搬送事例総数403例、不搬送事例総数222例であった。これらの消防本部が対応した403例の搬送事例のほかに、さらにその55%(222/403)の不搬送事例があったと推測される。そこで、全年齢層の推計値11,414人に「不搬送」の6,278人(11,414×0.55)を加えると、全国でおよそ17,000人の方が浴室内でCPA状態、ないし死亡されていると推計される。
なお、CPA状態の場合、救命率はおよそ1%であるという。

これほどの人数の人が、入浴中にCPA状態になっており、その大多数が高齢者、そして冬期に発生している事実に、ケアマネジャーの皆さんはどのような印象をお持ちになっただろうか。疾病や本人の身体状況だけでなく、ここはぜひ生活環境、とりわけ入浴時の様子などにも気を配りたい。

人は、わずか10センチの高さの水があれば溺死するといわれている。足を滑らせての転倒への配慮はもちろんだが、浴室内・浴槽内と脱衣所などとの温度差による心臓発作やめまい・立ちくらみ等による転倒・溺死というケースも多いとみられている。同センターでは、入浴時の温熱環境、浴室と脱衣室等の温度差の解消のために住宅を断熱改修することの重要性も示されていると結んでいる。

東京都健康長寿医療センター

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